着物が着たくなったのだが、20年前茶道していた時に教わった着付けがしっくりこないので春のうちに、と隣町の呉服屋さんにワンコインで教わりに行っている。
たぶん昔教わった方法は(*)、「時間がかかっても形にはなる/どんなに動いても見苦しく着崩れない」が重視されたスパルタなものだったし、ピンと張ったお太鼓至上主義だったし、学生茶道なので衿合わせがかなりストイックで最低限の抜き方だったと思う。お蔭で、今まで留学中含めて楽しみのために着た時にもとんでもない崩れ方をしたり下着がびろっと出たりそれを指摘されたことはないし、水商売みたいとか言われたりもしなかったので「二度と着るか」な気持ちになるようなことはなかった。都度疲れたけど。去年秋の七五三の時も、6時起きで着て2コマ授業したあとで写真館と神社を梯子したらへろへろになったし、今見るとコーディネートにもう一工夫加えていたら…とは思うが、写真を見て恥ずかしいほどではない(たぶん、ヴェリイに載っている最新流行のピエロみたいなセットアップの洋装よりは10年後も安心して見れるんじゃないかとも思ったりする)。ので、なんだかんだ、失敗したときに致命的にならないようなベースを作ってもらったんだなーと思い、そのおかげでまた着たいと思えるのはラッキーなことである。
今回の着方教室は外せないポイントと遊んでいいポイントを動きながら教えてもらえるのが楽しいし、動きのコツなども参考になる。いつも着物でお店で立ち働いているご夫婦に、楽しいよ、姿勢直ってきたら崩れないよ、と言われたら説得力があるというもの。
袋帯二重太鼓の前結びに続いて、長めの半幅帯を教えてもらう。運転にもオススメのカルタ結びがうまくきまって、脱ぐのがもったいないけど草履も足袋もないし……と脱ごうとしたら、「紬だしスニーカーで帰って大丈夫ですよ」と!スニーカーに柄のソックス、ショールを羽織って洋服を風呂敷包にして帰りながら、大丈夫とはいってもちぐはぐ感は否めないのだけど、ぶわーっと自由になったような気がして、嬉しくてついコンビニ寄ったりしてしまった。これで半襟を濃い目の色にしたりして、革っぽいシュッとしたスニーカーで、靴下は着物か靴ど同色か敢えてどこか色を取るかしたら、茶色の紬は受け止めてくれる気がする。この先スニーカーを新たに買うときに「着物で和洋ミックスは行けるか」は考えてしまいそうだ。ついでに和装で草履でお出かけのときに仰々しい感じや大人しくしなきゃいけない感じがしすぎたら足袋を色にするのもありかもしれない。どちらもお茶の着方ではありえないことだけど、厳しいスタンダードを一応知識として持ったうえで、敢えて踏み越えられるというのは随分と気持ちのいいことだと思う。…とまあ、格好よさげなことを言っているようだが、着付けの基本の手順も完全に度忘れしていたものがあったし、初めて聞く!みたいなのもあったので、たまに人に見てもらうのは本当に大事だとも思うのでした。
(*)先輩のうちに一式持っていって注意点を聴きながら一緒に着る、というのを2回ぐらいやって、茶会練習の時には着て授業を受けたあとタクシーで寺に行くのでまさにスパルタだった。茶会練習だけじゃ動けるようにならんな、と思って1年間お運びバイトをして、それでなんとか動けるようになった。