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2021/06/10

怒涛の日々のまっただなかハンドブレンダーを入手したのだ

  そんなことよりももっと色々報告すべきことがあるだろうといわれそうだ。何しろ前回の投稿が1月末である。その後、3月下旬に息子とともに尾道に移動し、保育園様の力を借りながら仕事に復帰している。

 勤め先は、実習の対面実施が優先なのもあって、緊急事態宣言の前から授業はオンラインでやっている。私は、なるべく対面の授業と同じライブ感が味わえる方がいいと思いリアルタイム配信。これは去年だったら学生の通信負担の観点から難しかったそうだ。育休中にちょこちょこCourseraの海外大学のネット講義とかつまみ食いしたり無料の範囲で真面目に履修してみた結果、動画&読み物の課題提示型(オンデマンド型)でそれなりの効果を得るには、かなり緻密な構成と準備と、教育工学とでも言ったらよさそうな専門知識が必要で、私一人じゃたぶん無理だなーと思っていたので、リアルタイムで出来てよかった。機器や通信トラブルが一番心配だったが、初回から3回分くらいは進度を犠牲にしてもゆっくり丁寧に対応し、GW前までには大体双方使い方には不安がなくなった気がする。去年度の経験者である上回生たちが協力的で、トラブルの時に助けてくれたのもありがたかった。対面の講義と比べると、反応が見えないのが詰まらないし、迫力を出すために身体全体を使えないが、淡々とまだ見ぬ観衆の興味を惹きつけなければならないのだ、と考えれば鍛えられていいかもしれない。また、芸術作品の図版などを受講生がみんな手元で綺麗に見ることができるし、受けやすい仕方でリラックスして受けてもらえるのはいいんじゃないかなと(一回マイクのミュートが外れてしまった学生の歌声が響いたときには苦笑してしまったけれど)。さらに、こちらとしては、課題へのコメントと返却、再提出の流れや課題からのデータ採取などがすべてクラウド上で出来るので、紙媒体よりも作業が楽なのに丁寧なフィードバックが出来るのは思わぬ副産物だった。

 とはいえ、反応は得られるものの常に画面を介しての日々、ちょっと一杯はもちろん、緊急事態宣言になってからは同僚と立ち話もなかなかしにくく、これは坊がいなかったらかなり寂しかっただろうと思う。

 そこで坊だが、前評判にたがわず保育園最初の2か月はほぼ週に一度以上のペースで病院にかかるはめになり、常に鼻かお腹おしりに不安がある状態だった。極めつけに五月の連休後にRSウイルス性の風邪というのにかかり、のどはぜーぜー、熱も上がって一週間保育園お休みに。私はまだ家にネットもなく、病児保育も「慣れてからぼちぼち探してみよう」くらいの悠長さだったので(なんか病気のときまで預けるのも可哀そうに思ったりしてなあ…)、やむなく休講にして一緒にお休みした。なお、坊が鼻の調子を崩すと決まって私も風邪気味になっていたが、このときも例外ではなくて、熱があろうが喉がぜーぜー言っていようが体を動かしたい坊と一緒にあちこち遊びながら、鼻も喉も絶不調の末、ついには嗅覚が効かなくなるというコロナ禍では超紛らわしい事態にまでなって、あれはきつかった。よほどきつかったみたいで、前後に疲労から腎盂腎炎とか膀胱炎とかも発症し、大変だった。あー、大変だった。

 という感じで「寂しくなんかないよ、楽しい我が家だよ」というよりは、あまりに怒涛のようで色々通常の感覚がふっとんでいる間に過ぎ去ったここ2か月というものでございます。

 ちなみに、保育園はとてもよくて、それはこのチャルダッシュな日々では非常に心強かった。普段接する先生や職員さんの対応が安心できるし、全体の空気感が明るい。内装や絵本の趣味がいいのもあるかもしれない。去年東京にいてあの状況だったのでとても保育園見学などできず、母親父親業の諸先輩の結構詳しい情報と、グーグルマップと、電話で問い合わせたときの感触、あとは立地などで直感的に決めたけど、間違わなかった気がする。

 ついでに言うと、育休中に時間を見つけて仕事をするときというのは、坊の昼寝中か就眠後に、多めに見積もっても90分ほどの時間、すでにリストアップした作業を一気に終わらせるなり、論文や発表の難所を考え尽くすなり、アイディアを出し続けるなり、というもので、そのノリで9時5時に仕事をしようとすると、集中しすぎかなんなのか頭の疲労もヤバいしその前に腰とか内臓とか色々身体がついていかないということが早い段階で判明した。産休前とかより使える時間の絶対量は減っているので、すぐに深い集中に入るなり、ブルトーザー的に事務処理をやるなりというのは悪くないのだが、とはいえ少し反省。復帰3週目くらいからは、時間を決めて休憩を取り、体の緊張を意識的に取り除くように気を付けている。結果的にはよくできた受験生みたいになっている。早寝早起きだし。

 そんなこんなでやっと慣れてきた最近になって、うちに登場したのがブラウンのハンドブレンダーである。ご冗談でしょう?って思いますよね、離乳食終わった時期になぜ?と。まあ、なぜかなと自分でも思うのだけど、「時が来た」という感じで手に入れて、これ、つぶせば美味しくなるというわけではないのが面白いところなので、これから美味しかったレシピはちょっとここに度々書いていこうかと思います。


基本バナナジュースと応用

バナナ2/3(朝、坊が半分食べるのでその残りと、1.5センチ幅に切って冷凍してあるやつ2切れ)・広島のレモンスライスの冷凍1/2-1枚・牛乳120-150cc

応用は、洗った小松菜や青梗菜を適当に加えたりすると色も綺麗で気分がよい。分量は葉っぱ3枚くらいから初めて、様子を見て増やすといい気がする。これも冷凍しておいてもよさそう。冷凍のものが何も入らないともったりと味がぼやけるので、冷凍ものを入れるのがいいが、あまり多いとそれはそれでお腹がびっくりするので調整する。レモンは国産をよく洗ってスライスしたものを冷凍しておくと、皮ごと入れて飲んでしまえて、少しの苦みも清涼感があってよい。

2020/05/21

とてもいい気分で布を買った話


 この布を買ったのは去年の初冬、風情は巣鴨だが地名は銀座という商店街の中心に、三番館というこれまた五番街なんかを意識したような名前のデパートがあるのだが、そこが北海道旭川市内にあって阪神タイガース応援歌が流れ、アウトレットという言葉が人口に膾炙するずっと前からちょっといいものが驚くほど安くなったりする不思議スポットで、地下の絨毯売り場ではギャッベだのキリムだの何十万するベルギーやらトルコやらの絨毯がぞろぞろ並んでやはり謎の値下げが行われたりする。母はそこに赤ちゃん布団のための着物地を探しに行って9万の値札の付いた色無地の反物を三千円で買ってきたことがある。
 その日は、中の布屋が二割引きだというので、赤ちゃん用品の材料でも見ようと妹と遊びに来たのだった。ちょうど隣には高校の時によく食べたたい焼きとお焼きの店があるし。そこで見つけたのがこの布。ごくごく薄い織りのインド製の綿ローン。
 そういえば2012年から気に入って使っていたインド綿のストールが、いよいよ傷んでワカメみたいになってきたので、前の年の夏から代わりを探していた。年中、首や肩に何かしら巻いていないと落ち着かないのだけど、金属でかぶれやすい夏場にアクセサリーがわりにするならコットンや麻に限る。特にインド綿は、汗をかいても食べこぼしてもじゃんじゃん洗濯出来て、畳むと小さく、薄いけれどそれなりに冷房よけにもなり、イランで髪を隠すのにもほうぼうの宗教施設で肌を隠すのにも使えたし、なんならホテルのお風呂で手洗いしても次の日には乾くので頗る重宝だ。そして、これだけ旅先で重宝なものは、つまり日常的に頼れる奴ということである(*)。
 探していたのはストールだったけれど(いや、そもそもは赤ちゃん用の可愛い二重ガーゼなんかを探していたのだけど)、安くなっているし、布でもいいかもなー、と布のぐるぐる巻きを物色していると、お店のマダム。
 ーーそれは綿ローンっていって、夏物の生地なの。今の時期はあまり出ていないけれど、夏にドレスやなんかを作るの。薄物だから涼しくて綺麗でいいわよ。ローンでワンピースとかドレスとか作ると、30万円くらいするのよ。グッチとか、ああいうところでね。
 ほう。グッチが30万のドレスを作る布、と来たか。
 セールストークもここまで壮大だと、かえって志が高くて背筋が伸びる。ちょっとうれしくなって、その時に首に巻いていたマフラーと同じ長さをもとめた。180cmが1200円かそこらで、グッチが30万のドレスを作る布が買えてしまった。
 なにせドレスも作れちゃう素敵な布だから、ビーズなんかつけたりしてもいいかも、などと少し煩悩がよぎったけれど、当初の予定通り洗えるインド綿のレギュラー使いができるよう、大人しく両脇(耳から少しのところ)にロックミシンをかけ、端は切りっぱなしに。
 そんなわけで三番館は今回もなかなかいい味出てたのでした。

(*) 1-2週間くらいの旅の荷物にもっていきたいもの=普段のレギュラー、という感じが望ましいと思う。

2019/03/06

ジバンシイと非ジバンシイ

 私には、血がつながっていると信じられないくらい整った顔立ちの従妹がいるのだけど(*1)、先月、一族が集う機会に彼女の化粧ポーチを見せてもらって、デパート一階のキラキラコスメが整列しているのに驚いた。なんと、可愛い女の子がそこそこ稼ぐとこういうこともできるのか。イヴ・サン・ローランのラメ入り下地?シャネルのコンシーラーとハイライトがセットになったコンパクト?異分野の新知見くらいのノリで知識として押さえても、自分の顔に乗っかる可能性のあるものとは全く考えていなかった。まさか実装してる子がこんな近くにいるなんて…!そして、彼女の顔だったら、BAさん(化粧品売り場のお姉さまたちのことだ)もさぞ楽しかろうよ…。
 さて、そんな彼女が、デパート一階に恐れをなす初心者な我々三姉妹(*2)にお勧めしてくれたのが、ジバンシイのリップバームである。保湿機能が非常に優れているのでリップクリームのように使えるが、唇の色に合わせてほんのり色づくという。試させてもらうと、私だと少しサーモンピンク寄り、妹の一人だとローズがかって、なかなかいい感じに合う色になる。なによりピンク色のレザーとシルバーのコンビで作られたケース。公式のコピーだと「レザーのドレスをまとう、美しいクチュールバーム」だぞ!小さなパーティーバッグにそのまま入れておくと最高に気分が上がりそう。ローズ・パーフェクト::GIVENCY
 その気になりやすい我々姉妹のこと、今度都会に帰ったら4000円握りしめてデパート一階に入門しようと決意したのであります。その時は。
 その日の夕刻、集まりの会場の手洗いで偶然妹たちと一緒になり、その一人から「あみちゃん、これも試してみる?」と差し出されたのは一本の色付きリップクリーム。外資ブランドの過剰にゴージャスなオーラを放ったケースとは似ても似つかぬ慎ましい細さと、一目で中学時代以来の乾燥対策の味方とわかる濃い青色。ニベア様でございます。繰り出されたバーはきついワイン色だけれど、つけてみると意外にも馴染み、しかも乾燥しない。なんと値段は5分の1ほどという。「なにこれ、結構よくない?」と興奮すると、「じつはもうお揃いで」などともう一人の妹が色違いを取り出す。「なんじゃそりゃ、え、ジバンシイはどうするの?」「でもこれで十分かもねー」「結構いいよねー」「デパート一階くしゃみでそうになるしねー」「そだねー」と、会話内容はもはや記憶の彼方だが、デパートの外資コスメ売り場進出計画は、早くもその時点で露と消えたのでした。考えてみたら、ドレスみたいなレザーのリップスティックっていっても、納まるのは「A4入ります」鞄だものね…。
 尾道に帰ってすぐに「ひまわり」でニベアの色付きリップを入手して妹たちに報告したのは言うまでもない。せめて、浮いた3000円強を本にしたり飲みほしたりせず、何かしらのキラキラアイテムに使おうと心に決めたのであった。


(*1) それに加えて心ばえも美しくて天使のように優しいし、続きを読めばわかるように営業の才覚もなかなかのものである。
(*2) といっても私はまだマシで、勇気を振り絞ってスキンケア用品を求めたり、さすがにドラッグストアじゃまずかろうと自分の結婚式用のマニキュアを選ぶのをBAさんに手伝ってもらったりしたことはある。

2018/12/09

狂っているのはわたしか、世界か

 …というと、何を大仰に嘆いているのかと思われそうだが、ボールペン問題である。
 私に言わせれば、諸悪の根源はパイロットの方針である。かのメーカーはHi-Tec-Cの0.3mmというとっても美しい線を描くペンを作る技術がありながら、それを持ちやすくつぶれにくいように改良するのではなく(ずっと書いていると肩が凝ること、一度でも落として打ちどころが悪いと再起不能になることが20年来この愛すべきペンの欠点であった)、あろうことが「消せる」ボールペンなどという存在からして矛盾した代物を開発して市場を席捲せしめたのである。言うまでもない、フリクションのことだ。無論、矛盾は文明の動力である。例えば冬なのに暖かい部屋。もっと言うと冬なのに暖かい部屋でアイス。けど『ダークタワー』の世界のように紙が希少高級品だというならともかく、ボールペンの文字が消えるメリットがどこにあろう。大体、我々があえて鉛筆でなくボールペンを使うのは、消えてはならないことを書く時ではないのか?このサイン、温めたら消えるんですぜ、旦那?とはいえ無駄は文化の精髄であるかもしらん。銭湯の富士山も図書館の天井画もなくちゃいけないってものでもないのだし。
 というわけで敵の存在自体は鷹揚に許容するに吝かではないのだけど、問題は具体的で差し迫っている。つまり、私の住んでいる尾道というのが、日曜夕方にタコスパーティーをやろうとするとちょっと買い出し大変だけどいわゆる普通の生活には困らない、くらいの程度の町なのだが、私の一番欲しいペンはその中の一番大きいスーパーの文具コーナーで、ありあまるフリクションを越えてたどり着いた棚の端に一本か二本あれば僥倖、して大概の場合は、私かだれか(多分一人か二人いる)がそれを買い占めた後に補充されていないから無い、ということになる。
 とはいえ、そんな私にもハイテックシーから乗り換えてもいいかなーと思えるような文具が12年ほど前には登場していた。しかもこちらは、手帳に挟める三色ペンや書き心地の良い高級タイプなどのヴァリエーションも豊かに時を経るごとに人口に膾炙し、当面は大きな文具屋を探さずとも補充に困らなそう。その名もジェットストリームの0.38mmである。黒と青があればノートを取るにも印刷物に書き込むにも目に優しく、特に、Hi-Tec-Cの0.3mmの青などというのは私の行動範囲から絶滅して久しいので、徐々に鞍替えした後は青と黒が3:2くらいの割合で着々となくなっていった。
 ところが、このジェットストリームの替え芯、どこにでも置いてありそうなのに、家の近くの本屋の新設文具コーナーを見たところ綺麗に0.38mmの青だけ、三色ペン用のも独立タイプも、販売什器の中に場所さえ用意されていないのである。0.7mmとか(私の偏見によると)誰が使うのだと思うようなものは場所もしっかり確保されて綺麗に色も揃っているのに…。いつのまにみんながみんな太字のペンを使う世の中になってしまったのか。わざわざ芯の丸くなった鉛筆を使うようなものではないのだろうか…?いや、洗練とは時に真新しいものやシャープすぎるものではなく、こなれたものに美を見出す姿勢でもあるわけだけど。例えば使い込んで艶の出た革製品とかね、まあいろいろあるけどさ。そんで結局は隣町に車を走らせることになったわけです。さて、狂っているのはわたしか、世界か。

2017/11/13

両手に灰を掬いあげてぎゅうっと握れば

ーーいつかはダイヤになるだなんて、ダイヤなら傷つかないなんて、ダイヤのモンドが永遠なんて、他人の夢さ(キリンジ『ムラサキ☆サンセット』)

 週末、シエラレオネで476カラットの巨大ダイヤが採掘されたとニュースにあった(AFPニュースリンク)。その前にも今年春に709カラットのダイヤが見つかり、政府に託されて12月にニューヨークで競売にかけられる(ニュースリンク)。こうした発見をニュースとして公表し、販売経路や利益の使い道を明らかにしておくことで、紛争ダイヤの一大中心地としての過去との決別を示す狙いがあるのだそうだ。

 紛争ダイヤモンド(Blood diamond)とは、内戦・戦争を行っている地域で算出され、武装勢力の資金源となるダイヤのこと。現在は、暴力に加担していないことを証明するキンバリー・プロセスという認証制度が世界的に広まって日本も加盟しており、まともな宝石店で買えるダイヤはその認証を経たものとなる。ジュエリーブランドの中には、平和的なダイヤであるということを強調して広報したり、フェアトレードの考え方を取り入れて産地、採掘方法および加工・取引の経路にさらに制限を加えている所も多い。
 もともと光り物が好きなのに加え、しばらく諸事情からダイヤモンドについて真面目に考えていたので、上のような話も一応見知っていた。とはいえ、この間DVDで映画『ブラッド・ダイヤモンド』(エドワード・ズウィック監督、2006年、アメリカ)を見て、シエラレオネ内戦(1991-2002)のあまりの残虐性と、そのダイヤとの密接な関わりにかなりショックを受けた。幾分誇張されてもいるとはいえ、内戦および革命統一戦線(RUF)による占領・略奪・破壊によって実際に死者が7万5千人を超え、国民の半数以上が難民となったというのは実話。住民をダイヤ採掘のため強制労働させ、あるいは反対者の手や足を切り落とすことで戦意や生産力を削ぎ、子供を洗脳して麻薬付けにしてカラシニコフをもたせ、少年兵として虐殺に加担させるなどが、全て本当の話。しかも、驚くのがその新しさで、全ては私も生きていた同時代に行われていたということになる。キンバリー・プロセスの話がまとまっていくのが2000年代なのだ。
(アフリカのナポレオンといわれたセシル・ローズ1853-1902、ダイヤモンドの原石売買の大元、デビアスの創設者である。彼の名前に由来するローデシアという国が、ザンビアとジンバブエとして後に独立する。)
 植民地から独立したあとのアフリカ諸国の中には、部族間の問題が内戦に発展したり、政治の腐敗に端を発するインフレや飢饉から抜け出せずにいる場所がいまだ多い。けど、フランスにいたときのアフリカの近さと比較すると、ここではごく単純化されたセンセーショナルな情報しか伝わってこない印象が強い。『アフリカ・レポート』のもう少し新しい版みたいな感じとか、今の様子がわかるものがないかな。今は、カプチンスキの『黒檀』というルポルタージュが河出の世界文学全集に入っていて、ちびちび読んでいるのだがこれは人間のリズム感がわかってかなり面白い。


 ちなみに『ブラッド・ダイヤモンド』には、アフリカ大陸生まれの白人傭兵兼ダイヤ密輸ブローカーのアーチャーという役でレオナルド・ディカプリオが出ていて、抜群に複雑でよいキャラクターを演じている。白状すると、この映画で一番印象にのこったのは、紛争の残虐さではなく、ジープからラリッた兵士が闇雲に打ちまくる散弾銃の銃弾の隙間を、人を連れて的確に逃げる彼の格好良さです。銃弾が飛び交う中で生き延びる方向に走れるというのはこれほど魅力的に映るのか。そもそもこの男は、不幸な幼少期を過ごし、天涯孤独で、傭兵としては有能な右腕であり、法の網をくぐる密輸人として成功し、にも関わらず現状から抜け出したいと思っていて、平気で嘘をつき、必ず裏切りそうで、なのにたまに情に流され、殺しても死にそうにないのに被弾し、だますつもりだった男を助けて眺めのいい場所で死ぬ…と、どこをどう切り取っても完全なるセクシーが服を着て歩いているような感じ、まあ、控えめに言っても現実の世界ではちょっとも関わりたくないけれど、眼福は眼福、「果たして人間とは悪なのか、善なのか?」と映画の中で出てきた問いに、もうひとりの主役ソロモンという黒人は「人間は人間だ」と答えるけれど、人間が人間であるが故の割り切れなさが凝縮されたような魅力があるので、是非ご覧あれ。

2017/09/09

旅の持ち物反省会(気付いたときに更新中)

旅の持ち物備忘録

↑これは、以前に書いたもので、ぼちぼち更新しながら今もわりと使っている。
 例えば、室内履き用のクロックスは機内に持ち込まずトランクに入れているし、そろそろタオルを持参しなければいけないような宿はあまり使わなくなってきたりなど。あるいは、機内に持ち込んで乗り継ぎ時間に顔を洗ったりするときのタオルは、近頃はご機嫌で「手ぬぐい」を使っています。

 さて、反省。
 今回は、アメリカ西海岸・東海岸、8月下旬から9月上旬まで計17日間。
 気候は、同時期の日本よりはだいぶん涼しく、湿気も少な目。
 滞在時の体感気温は、ワシントン>ニューヨーク>フィラデルフィア>ポートランド>ボストン>ボルティモア(これは雨だったため)というところ。
 場所は、大学、美術館、図書館等中心。

 服は、一週間+一日くらい洗濯無しで大丈夫なように持参し、滞在中に2回、比較的長居したポートランドとニューヨークで洗濯を入れた。

◆持って行ってよかったもの
・サングラス:日差しは本当に強かった。
・耳栓:飛行機機内だけでなく、今回はニューヨークのホテルで室外機の音が結構きつかったので、これで安眠を確保していた。
・スニーカー:動き回るメインだったので、持って行って正解だった。
・ジャケット:今回は五年前から使っている夏用の薄いベージュのタラっとしたやつと、バーゲンで新たに仕入れた紺の襟無し裏地無しの夏用ニットジャケットを持参。日焼け対策にもなるし、肌寒い日も使えるし、大人にみられるし、便利だった。特に襟無しのはカーディガンみたいにも使えてよい買い物をした。東海岸の都市では、働く人は男女ともにこのシーズンでも夏生地のジャケットを着ている人々が多く、目の保養でした。
 大人にみられるといえば、同じ理由でプリントのボックススカートも。しゃらっとした生地は畳んでおいてもしわが目立ちにくく、汚れも目立たないし、無地のTシャツにジャケットを羽織ればどこへ行っても大丈夫。
・淡水パール:おしゃれしたい意図が伝わりやすい。
・ワイドデニム:ユニクロの黒デニムで、少し薄目の生地の9分丈。これは、ジャケットを羽織ればキチンとも見えるし、機内でまるまって眠るのにもストレスがなくて万能であった。
・amazon kindle paperwhite:文庫本より軽い小さなサイズのを娯楽用に導入したのだけど、「読むものがなくなる」という不安から解放された。っていっても旅先でもガンガン買ってしまうのだから世話ないんだけど。これのもう一点いいところは、スマートフォンやタブレットと違って、直接目に来る光が少ないのに見えるから、入眠儀式に使いやすいことです。最近はスティーブン・キングの『ダーク・タワー』シリーズ、ちょうどアメリカなのでよい感じ。
・よいデジタルカメラ:研究のために導入したもの。canonのコンデジの中でいい奴だと思います。近頃は一般人が手にするのはスマホとデジタル一眼に二極化されているのかという印象があるけど、一般人のなかでも美術史のひとにはスマホでない、かつハンドバッグに収まるデジカメは強い味方だ。薄暗い美術館でも「失敗して使えない」写真が劇的に減った。

◆あまり使えなかったもの・再考の余地があるもの
・モバイルwifiルータ:今回は仕事上連絡を確実に取れる手段が欲しかったのでレンタル契約していった。ところが、基本的には美術館とホテルと大学はWifiが飛んでいるので(日本よりは断然飛んでいる)、結局、移動時間くらいしか使わなかった。機器は持ち運ぶには重たいし、途中通信障害で二日間ほど通信が滞ったので、信頼性という観点からも微妙である。
・ロングスカート:チノのロングスカートを持って行ったけど、案外旅先だと動きにくいし、雨が降ると裾が気になった。
・パンプス:ピンクの4センチヒールを持って行ったのだけど、薄い色のパンプスを履いている人は少ない印象。汚れるからかな?やっぱ黒が万能か。
・ある種のカットソー:普段着るものでも、旅先は腕周りが少しでも窮屈だと頭痛がしたりするので、持って行ったけど結局着なかったものがある。