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2025/12/10

世知辛過ぎる

「ママ、このカードは何でも買えるカードだからなんでも買える秘密のカードって書いて」

ークレジットカードのこと?

「そう、キラキラで何でも買えるやつ。うらにね、番号と、なんでもかえるくれじと?カードって書いてね」

ここんとこ坊は空き箱にハマっており、ティッシュを見てもお菓子を見ても「なくなったらちょうだい」 で、床の一部にコレクションされた箱が積みあがっているのだが、この時は組み合わせて自動販売機様の何かを作成し、サインペンをジュースに見立てて販売中であった。私が売り子の番のとき(自動販売機だけど売り子が要る)、さんざん面倒な金額を要求するので、その都度500円玉とか10円玉とかを増刷していた坊が面倒になってきたらしい。

ーでもこれ、ただなんでも買えるんじゃなくて銀行に預かってもらってるお金から使ってるからね。

「知ってる、しゅんかんいどうでしょ!」これは夫が何かで教えたらしい。

ーまあ、近頃は面倒だからあんまりちいさいお金使わないもんね。10円玉とかね、10円玉だけだとあんまりお買い物もできないしね。ママが小学校に行ってたときは、10円玉をもって行って、どうしてもおうちに電話しなきゃいけないときには学校においてある緑色の電話に10円玉入れて電話してたんだよー

「ふうん」と坊、しばらく考えてから、なんだかひどく裏切られたような顔で

「ええ?? 電話かけるだけなのに、お金入れなきゃいけないの??」

ーそうだよ。

「ええー、それなんかずるくない?」

ーそうかな。あ、そういえば、今ママの持ってるスマホも、じつは連絡装置とか電話とか使うとお金がかかります!クレジットカードみたいにして銀行から払ってもらってるんだよ。

連絡装置はうちではラインを指します。聞いた坊は「え、やば。」と絶句。

その後しばらくして、私がトイレにいたら、走ってやってきて

「え、ママ、ってことは我々のでんわ、いくらかかってるの??」

我々の電話じゃなくて我だけの電話なんだけどさ、ちいさい人たちにとっては物が手に入るわけじゃないのにお金がかかるって不条理なんだろうな、と思った一幕でした。