ワシントンDC、何度かファーストフードが続いたので、えいやっ!と駅の構内にあるちょっとよさげなグリルに入る。これ、ただのバーガーに見えるけれど、実は挟んであるのはその地方の名物「クラブケーキ」なのです!
クラブケーキって、よくお話に出てきて、お菓子みたいな名前なのにご飯らしいし、つくり方が複雑でコツがあるみたいだし、すごく気になっていたアメリカ料理の一つである。
何者かというと、チェサピーク湾の名物であるカニの身をほぐしたものを、ごく少しのツナギとともに丸めて、軽い衣をつけて多めの油で焼き付けたものと思われる。いわば、カニクリームコロッケにおいてクリームとカニの配合を逆にしたような感じだ。メインで頼むと二つ付くのだが、高いので(写真のように、よさげといっても白いテーブルクロスとかワイングラスとかではないような食堂でも一品で20ドル台後半以上に)、お財布と相談してサンドイッチにした。こちらは一つ分しかつかないので安く、お腹もいっぱいになれる。タルタルソースとキャベツといっしょにバンズに挟まれて、コールスローとフライドポテトが付く。味は、日本のカニのように強烈に海と甲殻類の風味がするというものではなく、もう少しやさしい味。ほぐし身の繊維がもさもさとしてとても満足感がある。
ところで、ポテトの為にマスタードとケチャップを持ってきてくれるのだが、このケチャップの瓶は、合衆国で目にした諸々の風俗習慣の中で最も理解に苦しむもののひとつである。つまり、「瓶」なのだ。それも、広口の瓶からスプーンなりで掬うのではなく、飲み物の入っているような瓶で出てくる。当然、少し傾けたくらいでは出てこない。恐る恐る完全にひっくり返しても、……やっぱり出てこない。蓋をして、恐る恐る、瓶を上下さかさまにして振る。蓋を取る。やっと直径2センチ分くらい出すことが出来た。でももう少し欲しい。えいやっ!とそのまま一振りして、……すでに勘の良い読者の方はお気づきのように、これが皿の上に運よく落ちるはずがないのでございます。
きっと、どこかに、アメリカの子供なら小学校2年生くらいで完全にマスターするような、なにかコツがあるのですよね?納豆の醤油を入れすぎないとか、たれの袋を破るときに服を汚さないためのスキルみたいな、ね?
さて、最後はボルティモア。日中あまりに時間的な余裕がなくて、とうとうセブンイレブンの2ドルのホットドックを他人様のお家の軒先を借りて雨の中ほおばるという暴挙に及んだ分、最後の晩餐はきちんと座って食べようと思って、ホテルスタッフのお薦めアフガン料理屋に。白テーブルクロスにワイングラスのお店である。 けど、全然リーズナブル。下の写真のシチューと米とソースとほうれん草のピュレがセットで、なんとかという料理一品なのだが、これで16ドル。ワインとサービス料、税あわせても30ドルだった。
せっかくだから、ここは羊を食べよう!と、羊の煮込み定食に。クミンが効いたトマト煮込みにヨーグルトがかかっている。ごろごろマッシュルームが入っていて、味が染みてとてつもなくおいしい。ご飯(これもクミンと炊いてある)にかけて、ほうれん草のピュレを添えて、そこに、コリアンダーの葉と唐辛子少々にレモンとオイルかな?そんな感じのスキっとするソースをかけて食べるのだけど、これはどうにかして再現したいくらい本当においしかった!