産後の女性は、2-3時間おきの授乳(*)に備えてホルモンバランスが変化するので、一瞬にして深い眠りに就き、あるいは目覚めることが可能であるらしい。確かに、私はもともと布団に入ってから眠れるまでに平気で一時間以上かかったりするぐらい寝つきが悪いし、寝覚めもいうまでもなく悪いほうだったのが、極度の睡眠の欠乏からか何からか知らないけれど寝ようと思ったら七割くらいの確率ですぐに寝られるようになったし、起きるのは相変わらず辛いけど辛いなりに何とか目覚められているので、うっすらとそういうものなのかもしれない。
ただこれ、毎日やっているものだから、いい加減身体の方もうんざりしてきて、きっちりあるべきところに目覚めたり眠ったりせずに、変な隙間に入り込んでしまうことも多々あるのである。
昨夜の設定では、我が子はどこかの県知事だった。
思うに、ニュースで近頃、都道府県レベルの意思決定が盛んに取り上げられているのが、頭に残りすぎてるみたいだ。一応正確を期すと、どこかの実在の知事が自分の子になっていた、ではなく、子が、彼自身のままで知事職に就いているという設定である。
夜中1時の授乳の数時間後、どうしても自分のベッドは嫌だというので隣に来ていた子が、もにょもにょと蠢き始めたらしい。腕を上に思いっきり伸ばしたり、首をぶんぶんと振る気配で、私の意識もなんとなく浮上してくる。
うーん、やっぱり朝までは寝てくれないか。
薄目を開けてみると、目をぎゅっと閉じたまま顔をくしゃくしゃにしている。こんな時に知事なんてやってたら仕方ないね。重責が違うもの。よしよし、大丈夫だからね、とダメもとで声をかけて、トントンして、再び眠らせようとしてみる。
ああ、駄目だ、足バタバタも始めた。驚異の腹筋で身体を折り曲げ、足はほとんど頭上に届きそう。おむつは膨らんで、脇腹や背中には汗もかいている。だって、大変だもんね、緊急事態とか言うだけ言って国もなんもあてにならないし。よし、おむつ替えからだな。おくるみはくしゃくしゃに丸まってどこかにいってしまったらしい。これも、多忙を極める知事業ゆえだ。
いよいよ私が気づいたことに気づいた子は、「あ!」「あう!」と声を上げてさらに注意を引こうとする。これで、コロナ禍のさなかに各方面への調整をやってのけているのだ。お腹も減ろうというもの。
世の中、いいおじさんになったような人が知事やってるようなところもあるのに、この子は本当に頑張ってるのだ。ほかに赤ちゃんのところってあったっけ。みんな凄いよね。
スマホをみると4時過ぎ。
よろよろ起きだしながら、ようやく、ここにいる赤ちゃんがどこかしらんが県知事というのはおかしいということに思い当たり、粛々とおむつを替え、記録のためのタイマーアプリを起動して授乳する。
よろよろ起きだしながら、ようやく、ここにいる赤ちゃんがどこかしらんが県知事というのはおかしいということに思い当たり、粛々とおむつを替え、記録のためのタイマーアプリを起動して授乳する。
(*) ここで2時間と3時間をまとめる乱暴さよ!授乳間隔2時間と3時間には天地の差がある。2時間だったら1時間も眠れないけど3時間あけば1.5時間くらいはしっかり眠れる。もう少しあいて3時間眠れるとだいぶん楽だ。1か月と1週間が過ぎたときに、初めて4.5時間続けて眠れた時は、本当に身体が軽くて、頭のなかの霧が晴れたような感動があった。3ヶ月くらいから、週の半分くらいで4-5時間続けて眠れる回が出てくるが、なかなか安定しない。1か月かそこらから人間並みに眠らせてくれる子もいるらしく、羨ましいことこの上ないが、他の万事とおなじく、これも凄く個体差が大きいみたいなので、恨みっこなしですねえ。
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