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2015/11/21

イラついた時の処方箋

 まったく、イラつくことの多い落ち着かない週だった。
 夏の夜明け前の瀬戸内海のように穏やかな私が、何をモツ煮込みじみた状況に陥っているのか?というと、別段、周りで起こっているのは普段と同じ日常でしかない。

 まあ、はっきりいって、終盤を迎えつつある困難な仕事がひたすら困難を極めているために余裕がなさすぎる、というのが一番の原因っちゃ原因なんですが。

 でも、何となく、世界を覆う(うっひゃあ!)よからぬ怒りの衝動みたいなのに、感染しちゃってる感はある。各地で人が死んでいることが意識されすぎるとき、しんどい政治的判断がいくつも火花を散らせている時。声をあげることにも沈黙していることにも、慎重さと自分の行動への責任が要求され、そうでない選択をすることに対する非難がにじみ出てしまうような気がするとき、要は、普通に生きて世界に関わるのにいちいち最大限の注意が必要な、ぴりぴりした空気は、内面も下手に過敏にしてしまう。

 それなりに正攻法で打ってでちゃってから気付いてまた自己嫌悪に陥るのだけど、怒りに捕らわれたときには、ある程度分析した後は、原因に直接突っかかっていくよりは、解決するためにもいったん目を逸らしたほうがよかったりするんよね。

 森見登美彦『太陽の塔』を取り出してみましょう。
 書き出しが最高。

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
終わりがまた最高だ。

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
そして、まあ、おそらく私も間違っている。
『夜は短し歩けよ乙女』とか『四畳半…』など、後の作品のほうが、純粋に読んでる分には楽しいのだけど(そうだ、時間が出来たら『有頂天家族』の二部を読まねば!)、惚れ惚れするほど阿呆らしい青春のドツボにいる自分をいまいちきちんと突き放しきれていない第一作に、よりすがすがしいカタルシスをおぼえるのだ。

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