モスクワ観光の勘所を一日で見るという無謀な試みの結果、一週間いたところでこの街は観きれない、という結論に至り、それならばと向かったのは「黄金の輪」。モスクワよりも古くからロシア正教の精神的な支柱となっていた土地で、12世紀から教会が残る。世界遺産として有名な「ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群」目当てに、スーズダリへ。
前日のシベリア料理屋で気持ちよく酔っぱらった結果、「地球の歩き方」を置いてきてしまったようなのだけど、店は夜まで開かないし、まあ、なんとかなるだろうと行ってみることに。
まだ通勤客がごったがえす時間にメトロでクールスカヤ駅まで行って、窓口で切符を買い、おそらく「ラストチカ」だろう特急列車に乗って、ウラジーミルまで行く。
ちなみに、メトロが込み合っているときには、一日目で挙げたような壮麗にして広いホームがほぼ人で埋まり、エスカレーターの前は、なんというか砂時計で小さな隙間を目指して落ちようとしている砂のように人が溜まる。この時に決して一列には並ばない。また、エスカレーターに乗ったら歩かないのがモスクワ流だ。理由はエスカレーターが果てしなく長いし、突っ立ってても頬にビュンビュン風を感じるぐらい速いからだけど、たぶんこの方式のほうが東京駅の朝8時台とかより輸送効率いいと思う。
さて、切符を買って特急に乗るくだりは、説明しようにも難しい。窓口であっちに行けとか上に行けとか下に行けとか言われ、パスポートを提出させられ、いくつか数字を見せられ、パスポートを見せ、切符を見せ、指さされて何かしら指示されたところに座ったら目的地についていたという感じだ。ほとんど英語はしゃべってくれない。座った場所もそれでよかったのかよくわからないままである。
ウラジーミルからスーズダリは、『宇宙兄弟』でヒビトがしみじみ感心するようなおんぼろの小さいバスで行った(例によって切符はなんとなく買えたけれど何を言っているのかさっぱりわからなかった)。小雨。色々な旅の記録の記憶の通り(何しろ「地球の歩き方」がないので)、スーズダリのターミナルについたところで、さらに30円ちょっとお金を払い、市内まで乗せてもらう。降りるところが分からなくて20分くらい余計に使ってしまった。
気づけばお昼近くなので、スーズダリのこじんまりしたレストランでお昼。キャベツの千切りが肉のコンソメに入った「シチー」は素朴な味。
「ジャルコーエ」というロシア式肉じゃが。ジャガイモ(大変美味)と豚肉を塩味のスープで器ごとオーブン焼きにしたもの。豚肉の油ががっつりとスープの表面を覆い、なかなか冷めない。塩味は控えめだが、がっつりとしたコクがあって肌寒い日にぴったりだった。
ほかにも観光客が食事をしているレストラン。
歩いて、クレムリン(城壁に囲まれた教会)のあるあたりへ。
青い玉ねぎ屋根の 聖母被昇天聖堂(生神女就寝聖堂というのも。要は聖母マリアが亡くなってそのあとキリストの力で昇天するのだが、正教ではこの就寝の場面の表現がすこぶるよく描かれている気がする)。かわいらしいサイズ。敷地内には博物館もあり、ウラジーミル・スーズダリ大公国の歴史が資料とともに紹介されている…がいかんせんロシア語なので年号と名前くらいしかわからない。
上は教会の扉口。ちなみに、一応キリル文字の読み方はわかるようにしていったのだが、モスクワではワールドカップ効果か地下鉄も全部英語併記で、わりと困らなかった。田舎に来ると、キリル文字の発音が分かって命拾いする感じに。
いったん敷地を出て、小川を渡って対岸にある屋外建築博物館へ。
川沿いから見える建物がピクチャレスク。近くにはお土産屋さんの屋台が並んだ広場のようなものが点在していて、結構な観光地なのだろうと思う。
上は小さい教会、下は農家。
風車小屋は修復中で入れず。
聖堂とその中身。木で作るには向いていなさそうな円天井なのだけど、丁寧な仕上げ…。
特に、少し複雑な教会だと、なんとしても玉ねぎ屋根を木で作ってやろうという執念が見て取れる気がする。
少し陽が出てきた。
聖堂。中はきらびやかな金属で縁取られた聖画像(イコン)が壁中にあり、その一つ一つに熱心に祈っている人がいた。教会の中には、入り口でスカーフを貸しているところがあり、そういうところでは、女性はスカーフをかぶっている人が多かったので、私もその習慣を尊重して自分のスカーフを頭にかぶるようにしていた。
鐘楼。
不思議な二つの三角帽子の門。
前日のシベリア料理屋で気持ちよく酔っぱらった結果、「地球の歩き方」を置いてきてしまったようなのだけど、店は夜まで開かないし、まあ、なんとかなるだろうと行ってみることに。
まだ通勤客がごったがえす時間にメトロでクールスカヤ駅まで行って、窓口で切符を買い、おそらく「ラストチカ」だろう特急列車に乗って、ウラジーミルまで行く。
ちなみに、メトロが込み合っているときには、一日目で挙げたような壮麗にして広いホームがほぼ人で埋まり、エスカレーターの前は、なんというか砂時計で小さな隙間を目指して落ちようとしている砂のように人が溜まる。この時に決して一列には並ばない。また、エスカレーターに乗ったら歩かないのがモスクワ流だ。理由はエスカレーターが果てしなく長いし、突っ立ってても頬にビュンビュン風を感じるぐらい速いからだけど、たぶんこの方式のほうが東京駅の朝8時台とかより輸送効率いいと思う。
さて、切符を買って特急に乗るくだりは、説明しようにも難しい。窓口であっちに行けとか上に行けとか下に行けとか言われ、パスポートを提出させられ、いくつか数字を見せられ、パスポートを見せ、切符を見せ、指さされて何かしら指示されたところに座ったら目的地についていたという感じだ。ほとんど英語はしゃべってくれない。座った場所もそれでよかったのかよくわからないままである。
ウラジーミルからスーズダリは、『宇宙兄弟』でヒビトがしみじみ感心するようなおんぼろの小さいバスで行った(例によって切符はなんとなく買えたけれど何を言っているのかさっぱりわからなかった)。小雨。色々な旅の記録の記憶の通り(何しろ「地球の歩き方」がないので)、スーズダリのターミナルについたところで、さらに30円ちょっとお金を払い、市内まで乗せてもらう。降りるところが分からなくて20分くらい余計に使ってしまった。
気づけばお昼近くなので、スーズダリのこじんまりしたレストランでお昼。キャベツの千切りが肉のコンソメに入った「シチー」は素朴な味。
「ジャルコーエ」というロシア式肉じゃが。ジャガイモ(大変美味)と豚肉を塩味のスープで器ごとオーブン焼きにしたもの。豚肉の油ががっつりとスープの表面を覆い、なかなか冷めない。塩味は控えめだが、がっつりとしたコクがあって肌寒い日にぴったりだった。
ほかにも観光客が食事をしているレストラン。
歩いて、クレムリン(城壁に囲まれた教会)のあるあたりへ。
青い玉ねぎ屋根の 聖母被昇天聖堂(生神女就寝聖堂というのも。要は聖母マリアが亡くなってそのあとキリストの力で昇天するのだが、正教ではこの就寝の場面の表現がすこぶるよく描かれている気がする)。かわいらしいサイズ。敷地内には博物館もあり、ウラジーミル・スーズダリ大公国の歴史が資料とともに紹介されている…がいかんせんロシア語なので年号と名前くらいしかわからない。
上は教会の扉口。ちなみに、一応キリル文字の読み方はわかるようにしていったのだが、モスクワではワールドカップ効果か地下鉄も全部英語併記で、わりと困らなかった。田舎に来ると、キリル文字の発音が分かって命拾いする感じに。
扉口の柱頭装飾にライオン。
敷地は小高い丘になっていて、葉っぱも色づき始めてとてもいい感じ。もう少し晴れるときれいなんだろうな。
敷地内の木造建築。
いったん敷地を出て、小川を渡って対岸にある屋外建築博物館へ。
川沿いから見える建物がピクチャレスク。近くにはお土産屋さんの屋台が並んだ広場のようなものが点在していて、結構な観光地なのだろうと思う。
建築博物館には、ウラジーミル・スーズダリ大公国の領地だった近隣から移築してきた木造の教会、風車小屋、農家(家畜と住むタイプや、労働者を一緒に住まわせるような広い家なども)などが、広い敷地内に点在し、半分くらいは中も見ることができた。
上は小さい教会、下は農家。
風車小屋は修復中で入れず。
聖堂とその中身。木で作るには向いていなさそうな円天井なのだけど、丁寧な仕上げ…。
特に、少し複雑な教会だと、なんとしても玉ねぎ屋根を木で作ってやろうという執念が見て取れる気がする。
少し陽が出てきた。
街を突っ切って、修道院へ。ここは敷地内には無料で入って、現役の教会を少し見た。
聖堂。中はきらびやかな金属で縁取られた聖画像(イコン)が壁中にあり、その一つ一つに熱心に祈っている人がいた。教会の中には、入り口でスカーフを貸しているところがあり、そういうところでは、女性はスカーフをかぶっている人が多かったので、私もその習慣を尊重して自分のスカーフを頭にかぶるようにしていた。
鐘楼。
不思議な二つの三角帽子の門。
すでに20000歩以上歩いていて、疲れたのでカフェに、と思ったら入ったのがレストランで、名物だという蜂蜜酒を頼んだつもりが、綺麗な小さい皿に入った蜂蜜そのものを出されるという事件が起きる。一体全体、蜂蜜だけを頼む旅行者がどこにいるのだろう…超絶な不殺生を身上とする妖精さんか何かにでも見えたのだろうか…。言葉が不自由なのでたまにあることとはいえ、疲れていたのでなんだか参ってしまった。蜂蜜酒は置いていないらしい。
そして、そろそろ帰るかという段になると気になるのが、帰る方法である。行きはターミナルから市内線に変わったおんぼろバスで市内まで来たのだが、帰りはどうやったらウラジーミルに戻れるのだろうか。繰り返すが、この日私たちには『地球の歩き方』がなく、ポータブルWifiの電池もわずかになっていた。ちょっと不安になってきたところで続く。
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