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2016/01/17

韓国海苔巻の作り方を描く

 この前の投稿の変な寒さは、風邪ひき始めの寒気というやつだったようで、その日の夜から本格化して次の日の朝には37度、昼に授業を終えて病院に行くと38度を越えた。インフルエンザではないのに(検査したら陰性だった)熱を出すことも珍しいので、その日はおかゆを食べて風邪気分に浸りながら夕方から朝まで寝たおし、翌日も最低限のミッションだけこなして(といっても木曜日はフルタイム以上に予定が詰まっていたのだけど)帰ったら寝る、というので何とか下手に悪化させず、今週末にその断末魔を聴きながら例の任務をこなしたのでした。

話は全く変わって、もうすぐ節分なので韓国海苔巻の作り方を描いてみたのが上の図である。
 和風の田舎巻きや太巻きも大好きなご馳走だが、こちらは意外と手軽なのにかなり美味しい軽食なので、是非試してみてください。
 なお、レシピは韓国のお姉さまに昔教わったのを自分なりに適当にサボったり考えたり改良てきなアレしたもの。

◆飯! 
 胆はご飯の味付けで、水少な目で炊いた温かいご飯に、酢ではなく、塩とごま油、白ごまをよく混ぜる。(味はあまり濃くしすぎると喉が渇くかも)。

◆海苔!
 韓国海苔を使うべきかと思いきや、案外普通の海苔でも行ける。寿司用の上等なのよりも薄いもので十分。韓国のりなら、味付きでないタイプが望ましい。

◆具!
 具の中で欠かせないのは、沢庵(全然秘伝の味とかでない、スーパーで売っている甘いやつがいい)、卵焼き(私は甘いのが好きだから砂糖と塩ちょっと、醤油で作る)、魚肉ソーセージ(サラダ油かごま油で軽く炒める)。
 魚肉ソーセージが海苔&ご飯のタッグと組んで最強の脇役となることは、『ハチミツとクローバー』で全国に知られ『三月のライオン』でも確認された歴然たる真理だが、私がレシピを教わった韓国のお姉さんははるかに前から知っていたことだったのだ!
 この三つがあれば、後は好きなもので無限にヴァリエーションが作れ、この三つのどれかを入れ替えたりすることもできるが、まあ、安定して味が決まる。

 基本のレシピでは、他に軽く塩もみして水気を切った細切りきゅうり、細切りしてサラダ油かごま油で炒め、軽く塩味を付けたにんじん(お気づきの通り魚肉ソーセージと一緒に炒めてしまえばよい。もっと勘のよい方がお気付きの通り、これらは無論、卵焼きを焼いた後のフライパンをササッとキッチンペーパーで拭ってそれで焼けば手肌にも地球にも、限りある時間にも優しいのである)を一緒に巻く。これは、最低限の手間と予算によって彩りと歯触りにヴァリエーションを与える最適解だと思う。何しろ、以上の五品は、基本的に固形物なので、巻くときに順番の気遣いもいらない。
 気を付けなければいけないのは、これに慣れた頃に思い立って和風太巻きを作りはじめたら、きっとかんぴょうと干しシイタケの下ごしらえのためにタイムマシンを飛ばし、なおかつ最初の一巻きでピンクのそぼろが霞と消えるだろうことだけだ!
 
 ほかに竹輪やさつま揚げなどの練り物を炒めて加えたり、小松菜を薄口醤油でお浸しにしてきつく絞ったのを入れたり、あるいは肉そぼろとかのちょっと高級&手間暇かけたアレンジを加えることもできる。

◆巻く!
 海苔の2/3くらいにご飯を薄くのせ、具を並べて巻くのはふつうの巻物と一緒である。
 注意すべきは、しゃもじよりはむしろスプーンなどで、ご飯を容赦なく敷き詰めてよいということ。近頃はオイル美容なんて言葉もしばしば聞きますように、ごま油でコーティングされた飯粒は酢飯とは比較にならないほど強い。なので、ふんわりとか気を使って巻物を崩壊させるよりは、ぎゅっとやっちゃって大丈夫である。
 もう一つ、近代になって手が大きくなった淑女紳士諸君であれば、別に「巻きす」を使わなくてもいいと思う。その方が力技でまとめやすかったりする。
 ご飯がオイリーで湿気が少ない分、海苔はタダではくっつかないかもしれない。そういう時にはご飯粒を2個ほど、海苔の端っこで軽く潰して糊替わりにしちゃいましょう。食べちゃうから罰当たりじゃないよ。

◆切る!
 ラスボス対戦がココなのはどの海苔巻も同じ。サッと一振りすれば空気中の塵も真っ二つになるようなシャープな包丁を、けっして焦らずゆっくり急いでこまめに前後させて切断し、その都度濡らして固く絞った布巾で、(その都度というのは流石に面倒でも出来るだけ)こまめに拭く。
 最後は断面にゴマをふりかけ、この断面を上にして盛り付ける。醤油も何もなしに、いただきます。下は前に作ったもの。

2016/01/05

寒さと戦う~女の家

 今日が事実上の仕事はじめだったのだけど、仕事場が寒すぎて物凄いエネルギーを食われた一日だった。15時ごろになってようやく寒さのことを考えなくてもよいくらいに落ち着いたからよいものの、昨日の夕方に駅に降り立って生ぬるい風を浴びた時には「しめた!この地には冬は来なかったようだ!」とにんまりしたのもつかの間、家はどこもかしこも冷たく、研究室ではオーブンと逆の現象が起きているなんて、全く油断ならないことである。今のところは事務仕事もそんなにたまってなかったし、自分の仕事は年末年始もぼちぼちやってたので、本日一番胆力を使ったのは「部屋が暖まるのを待つこと」なんじゃないかと思うくらい。
 あ~肩こるったら!今日は粕汁じゃ、熱い風呂じゃ。道産子が寒さに弱いというと笑い話みたいに理解されるけれど、暖かいところでしか寛げないのは、夏に凍えるほど冷やさなければ不安なのに比べたらどんだけか合理的なことじゃないかと本気で思ったりするのだ。

 毎度、実家では何をするというものではない。
 買い物とか遊びに行くこともあるけど、メインはこれだ。持ち帰った仕事をして、分担している家事をして、おすすめされた本や新刊の増えた漫画を読んで、ストーブの前でめいをなでて、あとは果てなく近況や、創作活動や、読んだ本や、美味しいものの話をする。心行くまで昼寝して、一日に何度もお茶やコーヒーを淹れ、大体は茶菓もいただく。申し訳程度にピアノの練習もして、夜は美味しいお酒を飲んだりする。
 人に言うと「何が楽しいの」という顔をされることが多いので、試しに書き出してみたけど、改めてみてもこんな幸せはない。
 めい(ミニチュアダックス)を含めて、父以外は女ばかりなので、上橋菜穂子の「守り人」シリーズでサンガル王国の王家の賢い女たちが集う四阿(あずまや)とか、佐藤亜紀の『雲雀』にちらっと出てくる女たちの秘密基地みたいなところとか、そういうちょっと外と違う秩序が敷かれているような呪術チックな感じもしませぬか。まあ、我々の秩序はお茶とお菓子と「あったかのんびりおいしく」なので、極めて平和的なのですけれど。