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2017/08/31

NYC 経過

 ニューヨークの水曜は晴れ。

 西→東の時差(3時間早まる)が意外にも根強いのか、昨夜はうまく眠れず、朝は8時半ころまで寝ていた。
 急いで支度して、近くのお店でベーグルを食べて街を歩いてメトロポリタン美術館まで。ところでちゃんとしたベーグル屋にトーストにサーモンとクリームチーズを挟んだの作ってもらうと軽く1000円超えることが発覚した。今後は余程でないかぎり朝ごはんにはこんな贅沢は出来ぬ…結局メットのカフェがそれ以上にブルジョア価格なうえに時間がもったいなかったので、昼袋入りのブラウニーとオレンジジュースで済ませることになり、朝エネルギー取っておいたのは正解だったんだけど。



 映画・小説・ドラマで登場目白押しのセントラルパークというやつ。平日の昼間だからか観光客多い。周りにはフードカートがたくさんあっていい匂い。


 メトロポリタンは、公園横の立地といい、受付や警備員の観光客のさばきようといい、なんだかルーヴルに似ている感じがした。


 これはおまけ。昨日の飛行機ですが、国際線とか外国キャリアの飛行機の中って、大体選択肢にトマトジュース(塩入り)があるのが嬉しい。旅行中のお肌に優しいし、おやつのナッツやスナックとよく合うのよね。

2017/08/30

Portland - Boston - New York City

 いきなり更新をやめると心配されるかもしれないので念のため生存確認を!(日本の方がアブナそうですがね…!)土曜夜(訂正、日曜夜)にアラスカ航空夜行便でポートランドからボストンへ、光の速さで美術館を観て、ボストンコモンのほとりに一泊。下手によい地区に泊まってしまったため食べ物を見つけるのに難儀した。月曜(訂正、火曜)は駆け足でハーバードの美術館を観てボストンからニューヨーク、ラガーディア空港に。

これはボストンの街中。日曜(訂正、月曜)は天気が良くて街が綺麗だった。気のせいかポートランドよりも落ち着く。恰好あんまり浮かないし…ちなみにポートランドでは、若者は洗いざらしのシャツ(小さいよくわからない柄とかチェック)に膝上までのハーフパンツ、ローテクスニーカーかヒールなしのサンダルで、バッグはバックパックかメッセンジャーという感じ。お洒落な子ほど、髪の毛刈り上げてすらっとしていて性別がよくわからない。ヴァカンス時期だからか、大人で余裕のありそうな人は、山ブランド率高い。ボストンでは普通にアイロンのかかったピンストライプのシャツにチノパンに革靴・革のバッグを身につけた男性(年齢を問わず)だったり、黒いジャージー素材のワンピースにカーディガンとかジャケットを羽織った女性をよく見た。


 これはボストン美術館。上のようなひどい日程なので、東洋美術はほとんど見られなかった。しかも、前の晩が夜行便できちんと寝られなかったので、二度ぐらい立ったまま寝そうになって、アメリカ美術の日当たりのよい回廊のベンチで20分くらい気を失ったように仮眠を取る。その後イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で、その20分をめちゃくちゃ後悔しながら、でも受け付けの女の子が素晴らしいルートを提案してくれたおかげで何とか見るものを観ることができた。


 これ、中庭、いいでしょ。


 ティツィアーノの間。作品や調度を部屋ごとにゆるやかに統一させてあり、絵画も工芸品も説明が部屋ごとにポータブルのパネルになっているので、探偵気分でいいものを探すのが楽しい。

 ニューヨークは小雨。どっちみち美術館には間に合わない時間だったのでタクシーを使わずバスと地下鉄を乗り継いで80分くらい、5ドルちょいだった。

 せっかくなのでここまでの空港アクセスについて。
 ポートランドは、市電「MAX」で空港へ。これは40分くらいで5ドルで1日市内乗り放題のカードの範囲内であった。ポートランドはかなりバリアフリーが進んでいる印象を受けて、MAXには車いすの人が乗っていないのを見ないことがないくらいだった。ベビーカーも、自転車も多い。したがって、重い荷物を持っている旅人にも非常にやさしく、難なく空港までたどり着けた。
 ボストンは空港に近い市電T(一部地上にでる地下鉄)の駅までシャトルバス(無料)、そこから町の中心までは普通の値段(2.5前後)。Tは路線によっては電車の床が高い車両があるが、低い車両も連結してあり、エスカレーターも結構充実していた。時間も40分前後。
 ニューヨークでは二度ほど下りの階段で荷物を運んだけれど、もう少し頑張って探せばエレベーターなりがあったかもしれない。なんとなくあまり人のいない方まで行きたくない感じがしたので、あまりしつこく探さないことにした。危険を感じたというほどでもないのだけど、空港連絡バスからのメトロは、あまり身なりのよい人は乗っていない印象を受ける。

 晴れてたら、タクシーで「世界の中心まで連れてって!」っていって橋を渡ってみるのも素敵かもと思ったけど、まあ、今回は別の探検をしたということでいつかやろうと思います。
 

2017/08/26

Portland State University


 ウソみたいだろ。大学の中なんだぜ、これで。
 いま学生の参加している短期語学&文化研修プログラムを提供しているポートランド州立大学は、前回紹介した橋のあるウィルメット川西岸の、ダウンタウンをやや下ったところに広がっており、その結構広い敷地を、まるで北大のような本格的な緑地帯が南北に突っ切るような形になっている。その緑地帯を公園通りというが、御覧の通りにかなり樹齢のいった立派な木々と、綺麗な木のベンチたくさんあり、適当に人々が本を読んだりしゃべったり犬を散歩させたり曲芸の練習をしている。仲良しリスたちの姿も。


 日中日陰では25度より少し暖かいくらいで、湿気がなく涼やか、これで虫がほとんどいない。なのに、人でごった返していない。奇跡のようだ(逆に日本の都会にいると、こういうふうに日常的にほっとできるような場所が貴重過ぎて贅沢品みたいになっていて難儀なことである)。


 公園通り沿いになんじゃこりゃこの豪邸は!と思ったら、同窓会館のようなものらしい。


 右側は中小の講義室や研究室が入っているホール。語学の授業はこの中の教室を借りて行われている。



二点透視図法の練習みたいになったのは図書館を後ろから見たところ。


 ファサードは半分にしたドーナツの穴のような形にへこんでいて、ガラス張りの勉強コーナーになっている。


 蔵書はかなり開架に出してあるっぽい。芸術系だと楽譜が大量に!英語だけでなく欧州諸語や漢籍、日本語やアラビア語ペルシャ語と思しきものも関係なく何等かの仕方で並んでいて、少なくとも美術書はこれが便利だよなあ、と。


 飲食のできるコーナーや、グループで使えるコーナー。ホワイトボードの可動間仕切りは取り入れやすそう。


 入り口を入ってすぐ、「子供のいる学生さん、ファミリー・フレンドリーな自習室があるの知ってますか?」というサイン。

 ちなみにどうやら時差ボケを克服したようで、夕方自由時間に研究下準備できそうだと思って、今日は近くのスーパー(髭の長い兄さんがお香炊いてたりするナチュラル志向のスーパー)で飲み物を、近くのフードトラック街でトルコサンドイッチを買い込んでホテルにお籠り(トルコ料理屋台のおじちゃんはフェタチーズとほうれん草のパイをおまけにくれたがそれも絶品。ケバブラップサンドは予想にたがわず絶品でやすい)。

 ビールはHopworks Urban Breweryというこの辺りの結構有名なクラフトビール醸造所がつくっているグレープフルーツ果汁の入ったIPA(国際音声記号のほうではなくインディア・ペール・エール)(*)。インディア・ペール・エールは一口目に錆ついたような独特な香気と刺激があってびっくりするけれど、癖になるおいしさで、スパイス使った料理にも相性がいい気がする。売り上げの1%は環境保護団体に寄付するらしい意識高いビール。美味しい。後ろにあるのは「コンブチャ」という、やはりこの辺でちょっと有名らしいノンアルコール飲料で、シードルに似た感じで果汁とスパイス、発酵させた感じの炭酸で、塩気もある。ビタミンとバクテリアの力で元気でちゃうよ!みたいなうたい文句でグリーン&手作り系のラベル。味については、ひとまずはビールの方が美味しい、と言っておくが、うまく売り出せば尾道で人気が出そう。そんな味。

(*) これを買うときにもIDの提示を求められる。オレゴン州では飲酒は21歳からなのだが、昨日のワイン区域立ち入り禁止といい、かなり厳しく適用されている様子。私の場合、免許証は生年月日が和暦表示なので結局パスポートを見せることになる。タブレットに入った写真でも大丈夫だった。IDを見せると「あら、あなた案外年いってるのね」と言わんばかりにニコッとされるんだけど、まあ、向こうは規則でそうせざるを得ないのであり、考えすぎというものでしょうね。

2017/08/25

Portland, Oregon.

 初めてのアメリカ合衆国はひとまずオレゴン州のポートランドに滞在中。西海岸で、シアトルとちょっと近いところにある町です。
 眠たいのでひとまず説明は置いておいて、夕方仕事が終わってから散歩してたときに撮ったホーソーン橋。

 ポートランドは京都とかリヨンのような調子で街の真ん中を南北に大きな河、ウィルメット川が流れているが、その南寄りに架かる橋。1910年に開通した、アメリカで最初の昇開橋(vertical-lift bridge:船が通るとき、真ん中部分がみょーっと上がるそう。見たい!)だそうだ。夕暮れ時に北から。この北側にはフリーウェイが交差していて、それも結構格好いい。



 くぐります。川の西岸はずっと心地よい散歩道になっていてサイクリストが沢山いる。


 名前のわからない、結構大きな鳥さんたちが群れている。アヒルくらいの大きさで人を気にかけない。


 南に来ました。この後さらに南下すると、高級そうなホテルや海産物のレストランが並ぶ。今は大体20時前頃まで明るく、雰囲気も和やか。


 おまけ。街の中心のパイオニア・スクエアで、イタリア祭りが開かれていた。イタリア飯とワイン、何も買わなくても座っていられる椅子がたくさんあって、中心の舞台では今私もちょこちょこと出入りしているポートランド州立大学の 関係者?によるイタリアオペラ&歌曲のパフォーマンス。開放的で、気持ちがいいので休憩がてら何曲か聴いてみた。生ピアノの伴奏が結構いい感じに呼吸が合ってて楽しい。ワインの飲めるコーナーは21歳以上しか入場できない(私の顔だとパスポート提示を求められることが判明)けれど、中心の広場は老若男女、ほんとに赤ちゃんまでいて、とてもいい雰囲気。


 彼は、みんな知ってる「セヴィリアの理髪師」の何でも屋のアリアで、キャッチーなだけでなくパフォーマンスが素晴らしくて拍手がすごかった。

2017/08/12

帰省済報告 / 適量の難しさについて…柚木麻子『BUTTER』2017


 いくつかのミッション遂行のため東京経由で北海道に帰って、仕事場の行事の為、ちょっと前に瀬戸内に戻ったところだ。旭川では、でもだいたいの時間は、涼しい中でのんびりしたり美味しいものを食べたりすることに励んでいた。大事な人々と過ごすこういう穏やかな何日かを、働く人すべてが年に一回でも持てたら世界は大分平和になりそうな気がする。


 動物園にも行った。今年のポスター(途方もなくすばらしいので探してたが販売はしていない模様。デザインこちら)になっているユキヒョウ。撫でたい。

 あと、母が借りてきた柚木麻子『バター』(これ。*1)を奪い取って一日で読んでしまった。「君が何を食べているか言いたまえ、そうしたら君がどんな人間か言って見せよう」とはいってもそう簡単にはいかない、人間を解読しようとするうちに探偵自身が核心に巻き込まれるミステリーといっていいでしょう。でもそれ以上に、頑張りすぎたり不安になったりしがちな人が、自分の「適量」を見つけるための処方箋的な寓話である一方、女友達というキーワードを巡る命がけの決闘みたいにもなるし、誤読混じりに言えばホラーっぽくもある。
 っていうか、何を隠そう、高価なバターを不健康な仕方で大量摂取したくなる麻薬的な料理本でもある。

 以下は話の内容には直接触れないけれど、ちょこちょこ出てくる要素が微妙にネタバレするかな。

 特に印象に残ったのは、女性がいきなり体重を増やすことに対して周囲があからさまに表明する道徳的・生理的な嫌悪の凄まじさである。実のところ太ったといっても健康的な標準体重以下だったりするのに、女が減量の努力を継続せず、自分の欲望に従って食べ、ふっくらして満足しているという状態は、ここまで善人たちの、特に常識に生きる男性陣の恐怖を煽るのかと(実際に自分も、知り合いが急に太った時にえもいわれぬ恐怖と気味悪さを感じた経験もあるので)慄然とした。裏に響いているのは、性的に積極的な女性に対する嫌悪でもある。美味しそうにご飯を食べる女は可愛い。けどその予想を超えて、食べ物に過度な執着を見せると、同席者は「引く」からね。
 切り詰めすぎたり、行きすぎたり、憎んだり魅かれたり、そういう紆余曲折を経たうえで、自分の身体を作るものや自分と他人との関係に、適切なバランス感覚を取り戻すためには、やっぱり時間や金銭的な余裕がある程度は必要だ。というか、そのあたり分からなくなったら、無理やりでも「のんびり」を投入した方がいい。
 高級レストランや輸入食材、センス抜群の家庭料理、手作り焼き菓子、こってりラーメン、ファーストフード、地産地消、「愛情たっぷり」手料理、コンビニ弁当、セレブ料理教室、(この辺りでもちろん有機や無農薬、スローフードも入れたい)……どれもそれぞれ魅力があり、同時にどれも、人を引きずり込んで離さない黒い沼のようなイデオロギーを抱えている。ひとつひとつを全否定も全肯定もせずに丁寧に検証し、私たちの自由を奪うイデオロギーにからめとられることなく希望を示してくれるこのお話は、大変有難いものに思われる。とはいえ、この主人公、炎上しても会社が全力で守ってくれる出版社正社員(の立場を維持できる能力)、30代前半にして都内に客を何組も呼べるマンションを買える経済力に167cmの身長…ってなんか尋常じゃなく強い。逆に、これほど武器をもっていてもなお、適量は難しいんだと思わされたりするので、うっかりキムチチゲにバターを投入してうっとりしている場合じゃないかもしれません。


(*1) ちなみにこれに出てくるキャラクターがどうもこうも木嶋佳苗を髣髴とさせ、参考文献にも彼女に関する文献があるのだが、どうやらご本人はButterにぶち切れていたりして、なかなかサービス満点な状況になっているっぽい。