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2017/12/09

今後に期待。『ワンダーウーマン』

 遅ればせながら『ワンダーウーマン』(パティ・ジェンキンス監督、アメリカ、2017年)DVDで見た。女ばかりの暮らすアマゾン族の聖地で鍛えられた王女ダイアナが、偶然紛れ込んだ男を助けたのを契機に第一次世界大戦下の人間界に行き、泥沼の戦争を終結させるべく彼と協力して戦う。
 アメコミヒーローものの大予算映画で初めての女性監督作品、最強美女がわしわし活躍して世界中の女の子たちをエンパワーする映画、と鳴り物入りだったので大分期待してたんだけど、少し期待しすぎてたみたいだ。というか、一次大戦の前線の描写がかなりリアリスティックで本当に泥沼で、しかもそこそこ長く続くので、小さい女の子は怖いんじゃないかなあ。私だったら高校入るくらいまで無理だったと思う。あと、戦場や銃後ロンドンの描写が細かいわりに、最後のラスボス対戦の背景が基本的に燃え盛る火になっちゃってて視覚的に物足りない印象を受けた。魔法最大出力で戦うときこそ、大聖堂なり石橋なり摩天楼なりオペラ座なりを壊すなどしてそのパワーを楽しむのが映画というものではなくって?
 いや、全体的に面白いんだけど、もっと新しい価値観をぶっこんでくるのかと思っていたもので…。塹壕戦に毒ガスに戦闘機、というヨーロッパのトラウマを、アメリカ人スパイとスーパーヒロインが華々しく活躍して打開し、その後、時を経て成長したヒロインが、また人間を救うべく、2015年のパリ同時多発テロを思わせる方角に向かって飛んでいくところで終わる。とまあ、図式が単純なのはアメコミだからいいとしても、ヒロインがおぼこすぎる。とはいえ、今作はワンダーウーマンが現実と折り合いをつけて自分の使命を自覚するまでの成長の物語という位置づけなので、続編に期待なのかもしれないが・・・。今の段階では、ダイアナは三蔵と出会うまえの孫悟空みたいな感じの無鉄砲さと無茶苦茶な強さに加えて正義感が強く思い込みが激しいから余計に手に負えない。逆に、彼女を全く邪魔せずに必要な情報や仲間を確保しながらうまいこと活躍させてしまうトレバー大尉の有能さや人間的な成熟が印象的であり、何よりクリス・パインの顔が軍服からのぞくタートルネックの軍用セーターに包まれて出てくるのがなかなかに素敵である。当然のごとく二人の間ではロマンスっぽくなるんだけど、これは片方の圧倒的に成熟した大人の愛と自己犠牲によってもう片方が現実を受け入れて成長するという、ありがちなメロドラマなのですよね(*)。
 

 (*)今まさに『ダークタワー』シリーズ半ばの長い長い回想の中で、若きローランドの恋人のスーザンが感動的に死んでしまった場面を読み終えたところで、世界が違う二人の愛が美しく成就するにはどっちか(あるいは両方)が死ぬに如くはなし、の公式の万能さを再確認したところなので(これは、『タイタニック』でジャックが最後ドアの上とかに乗っからないのが物語的な要請に基づくのとか、『ベルばら』でオスカルの退場のタイミングの見事さにも通じる)もすこし別の形が見たいという気持ちがある。

2017/11/28

世界のうつくしさを補給しよう

 ちょっと仕事がひと段落したので、昨夜は本を読んでいるうちに我慢が出来なくなって22時半ころには就眠、朝7時半までノンストップだった。起き上がったら、肩と頭が少し強張っていて、どうやら歯を閉じて寝る癖が出ちゃってたみたい。これは、歯ぎしりから頭痛・肩こり・空気嚥下・歯痛など様々なところに響く悪い傾向で、ストレスを溜めずのんびり過ごす以外に対処法を知らない。
 ひとまず、今日あたり意識的にのんびりして、去る秋を惜しみながら人間性を取り戻すことに。


 お昼はのんびり大学の横の水源池を眺めながら福屋の地下で買った生ハムと水菜のブリトー。小春日和で日差しがぽかぽか。終わりかけた紅葉は目にもあたたか。そして私は生ハムが大好きなのだ。欲を言えば白ワインでもあったらいいとこだけど、平日の山奥でそういうわけにもいかないのでハト麦茶。


 こちらは散歩コース。スマートフォンを手に入れたら、たくさん歩けとうるさいので度々連れて歩いたり走ったりする道。この山の稜線に高圧電線が張られているので、もう少し時間が遅くなると、五つ六つある細い線にカラスがたくさん止まってジョン・ケージの楽譜みたいになる。


この辺りは結構鳥がうるさい。


 芒(すすき)、茫洋。


鴨さん二羽が池の上で山の輪郭を反復する。


 妙にドラマチックになってしまった。ここは4-5月ころの青いのもいい。

2017/11/25

この甘くめんこい幸せよ永遠なれ

 お仕事で昼間微妙に拘束され、なおかつ夜になると研究室を追い出されるという逆風の中で締め切り仕事をしている。大人しく続きを書けばよいものをこうして妙なものをしたためだしたりするので、あまり私を逆境に放り込むのは得策ではないと常々言っている通りである。思えば私が大学~大学院の時って、入試やらなんやらのために図書館とか研究室が使えないという経験をした覚えがない。特に院生の頃は土日含めて結構入り浸っていたのに、こういう不便はなかったので、恵まれていたと思う。

 昼間、女の子たちが常温保存可能のレトロな紙パック珈琲牛乳のパッケージを見て「成分表示の一番上が砂糖だ!」と盛り上がっていた。うーん、事実は時に残酷ではあるけれど、常温保存可能で乳製品だったら牛乳そのまま使うわけにいかないし、まあ、砂糖が一番多くなるのはまだしも健全で良心的なのではないかしら。
 今さっき私が食べた、六花亭の「大平原」は、バター、卵、砂糖、小麦、と続く。
 マドレーヌやバターケーキの基本のレシピがバター:卵:砂糖:小麦粉=1:1:1:1。私が思うにここの配合のアレンジの妙に加えてみりんと生クリームがいい仕事をしているのだろう。六花亭の中では実に地味なお菓子なのだが、首都圏でバターの風味を謳ったどんなマドレーヌやフィナンシェよりも素直においしい。そして安い。特に、冷蔵庫から出してすぐのこつっとしたところを、温かい紅茶やホットミルクと頂くと、硬めの生地が口の中で少し抵抗した後でゆっくりと崩れるときに嫌味のないバターと卵の香りがふくらんで格別だ。

 唯一不満をおぼえるところが、ここ数年(だと思う)のパッケージ。昔はマルセイバターサンドもそうだったように銀のフィルムで簡単に包まれていたはずなのだけど、袋詰めを切って食べる方式に取って替わられてしまった。袋は簡単に開けられるのだけど、中身を取り出すときに引っかかって、黄金色のかけらが剥げ落ちてしまう。かといって、袋からそのまま食べるのはあまりに散文的であるし。六花亭のこと、多分のっぴきならぬ理由あっての変更ではあるのだろうけれど、いち消費者としては残念でならぬ。

2017/11/13

両手に灰を掬いあげてぎゅうっと握れば

ーーいつかはダイヤになるだなんて、ダイヤなら傷つかないなんて、ダイヤのモンドが永遠なんて、他人の夢さ(キリンジ『ムラサキ☆サンセット』)

 週末、シエラレオネで476カラットの巨大ダイヤが採掘されたとニュースにあった(AFPニュースリンク)。その前にも今年春に709カラットのダイヤが見つかり、政府に託されて12月にニューヨークで競売にかけられる(ニュースリンク)。こうした発見をニュースとして公表し、販売経路や利益の使い道を明らかにしておくことで、紛争ダイヤの一大中心地としての過去との決別を示す狙いがあるのだそうだ。

 紛争ダイヤモンド(Blood diamond)とは、内戦・戦争を行っている地域で算出され、武装勢力の資金源となるダイヤのこと。現在は、暴力に加担していないことを証明するキンバリー・プロセスという認証制度が世界的に広まって日本も加盟しており、まともな宝石店で買えるダイヤはその認証を経たものとなる。ジュエリーブランドの中には、平和的なダイヤであるということを強調して広報したり、フェアトレードの考え方を取り入れて産地、採掘方法および加工・取引の経路にさらに制限を加えている所も多い。
 もともと光り物が好きなのに加え、しばらく諸事情からダイヤモンドについて真面目に考えていたので、上のような話も一応見知っていた。とはいえ、この間DVDで映画『ブラッド・ダイヤモンド』(エドワード・ズウィック監督、2006年、アメリカ)を見て、シエラレオネ内戦(1991-2002)のあまりの残虐性と、そのダイヤとの密接な関わりにかなりショックを受けた。幾分誇張されてもいるとはいえ、内戦および革命統一戦線(RUF)による占領・略奪・破壊によって実際に死者が7万5千人を超え、国民の半数以上が難民となったというのは実話。住民をダイヤ採掘のため強制労働させ、あるいは反対者の手や足を切り落とすことで戦意や生産力を削ぎ、子供を洗脳して麻薬付けにしてカラシニコフをもたせ、少年兵として虐殺に加担させるなどが、全て本当の話。しかも、驚くのがその新しさで、全ては私も生きていた同時代に行われていたということになる。キンバリー・プロセスの話がまとまっていくのが2000年代なのだ。
(アフリカのナポレオンといわれたセシル・ローズ1853-1902、ダイヤモンドの原石売買の大元、デビアスの創設者である。彼の名前に由来するローデシアという国が、ザンビアとジンバブエとして後に独立する。)
 植民地から独立したあとのアフリカ諸国の中には、部族間の問題が内戦に発展したり、政治の腐敗に端を発するインフレや飢饉から抜け出せずにいる場所がいまだ多い。けど、フランスにいたときのアフリカの近さと比較すると、ここではごく単純化されたセンセーショナルな情報しか伝わってこない印象が強い。『アフリカ・レポート』のもう少し新しい版みたいな感じとか、今の様子がわかるものがないかな。今は、カプチンスキの『黒檀』というルポルタージュが河出の世界文学全集に入っていて、ちびちび読んでいるのだがこれは人間のリズム感がわかってかなり面白い。


 ちなみに『ブラッド・ダイヤモンド』には、アフリカ大陸生まれの白人傭兵兼ダイヤ密輸ブローカーのアーチャーという役でレオナルド・ディカプリオが出ていて、抜群に複雑でよいキャラクターを演じている。白状すると、この映画で一番印象にのこったのは、紛争の残虐さではなく、ジープからラリッた兵士が闇雲に打ちまくる散弾銃の銃弾の隙間を、人を連れて的確に逃げる彼の格好良さです。銃弾が飛び交う中で生き延びる方向に走れるというのはこれほど魅力的に映るのか。そもそもこの男は、不幸な幼少期を過ごし、天涯孤独で、傭兵としては有能な右腕であり、法の網をくぐる密輸人として成功し、にも関わらず現状から抜け出したいと思っていて、平気で嘘をつき、必ず裏切りそうで、なのにたまに情に流され、殺しても死にそうにないのに被弾し、だますつもりだった男を助けて眺めのいい場所で死ぬ…と、どこをどう切り取っても完全なるセクシーが服を着て歩いているような感じ、まあ、控えめに言っても現実の世界ではちょっとも関わりたくないけれど、眼福は眼福、「果たして人間とは悪なのか、善なのか?」と映画の中で出てきた問いに、もうひとりの主役ソロモンという黒人は「人間は人間だ」と答えるけれど、人間が人間であるが故の割り切れなさが凝縮されたような魅力があるので、是非ご覧あれ。

2017/10/30

買って読んで積んどいて買って読んで読んで書く

 面白そうな本を買って、すぐ読むのかというと手元にあることに安心してしまってなかなか読み始めない。読み始めたと思ったらまた昔読んで途中でおいてあった本の方が気になってきて、そちらの続きを読み始める。そのうちに、当初読んでいた本のことはすっかり忘れて新たに気になる本を書店で発見してしまう。
 近頃の私ときたら一事が万事まで行かなくても三十事くらいはそんな感じで、手元の本をある程度消化するまでは新たに購入するのを控えようなどという、殊勝なことを考えたりもしたのだけど、それで残念ながら読むスピードが上がるわけではなく、仕事のペース配分に向上が見られることもなく、むしろなにかしら澱んでる気がしたりする始末。
 結局、ここ何十年か出る出る詐欺だった本の翻訳を、先週末にお小遣いから買ってしまったら、却ってすっきりした。

 どういうことなんだ、とも思うのだけど、ふと、さっき人参を切っているときに思い出したのが、夏頃に話題になった「無限音階(シェパードトーン)」のことだ。クリストファー・ノーランが『ダンケルク』(未見)の冒頭で効果的に使っているという、どことなくめまいを伴った不吉な予感を喚起する音響効果である。
 実際には複雑な和音が徐々に音程を上げ、上の音が上がるのと同時に下に和音が追加され、いつの間にか一番上の音が消えているのだが、聴き手には果てしなく音が上昇を続けるように感じられる。聴いたほうがすぐピンとくるので、こちらのリンクを是非(クリストファー・ノーラン監督が多用する、不安を煽る耳の錯覚効果「無限音階(シェパードトーン)」)。
 
 それを思い出した私は、人参を細切りしているところで、いつものように色紙上に薄切りした人参の程よい量を垂直に積み重ねて包丁を入れるのではなく、薄切り人参をドミノ倒しを倒した時の要領で横倒しにしてみた。そして、そのまま上から平行移動しながら斜めに積み重なった人参を切断していく。
 ……私って天才じゃないだろうか。こうすると、人参を積み重ねて揃える手間もなく、揃えた人参が切っている間にずれるのを気にすることもなく、切っていくうちにジェンガの終盤のように頼りなくなる人参の薄切りの壁を押さえるのに気をもんだり血を流したりすることもなく、延々人参の細切りの生産が出来るのである。
 これこそは、そう、無限人参…。
 
 と果てしなく話がそれたのだが、近頃どうにもこうにも自分の気持ちの上で整理がつくのを待たずに仕事やら何やら始めるだけでなく終わらせなければいけないことが続いていて、何となく自分が状況をコントロール出来ていないような気がしてご不満だったのだった。でなければ積読の肥大化くらいでは罪悪感をおぼえたりはしないはずである。しかしまあ、無限人参は、可能であるのみならず、言ってしまえば快感だ。一つ一つきちんと処理して終わらせて、というのではない本とか仕事とかの付き合い方というのを、流されて不本意に、ではなく、意識的に好意的にやってみて、そこから得るものを得ようとするというのもアリではないかと思ったもので、久しぶりの今日はそういう話。

2017/10/17

メモ

ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』
 地元の本屋に仲間たちと選書棚を作らせてもらっていて、みんなのおススメ本がどれも面白そうなのでついつい内輪で買ってしまう。ミランダ・ジュライは名前気になっていたけど呼んだことがなかったのを、ついにこの前その棚から買ってしまった。近頃の就眠儀式に。今まで読んだことがなかったとは思えないくらいしっくりくる。翻訳文体もステキ。

2017/09/10

ひとりメシ大集合 (2)


 ワシントンDC、何度かファーストフードが続いたので、えいやっ!と駅の構内にあるちょっとよさげなグリルに入る。これ、ただのバーガーに見えるけれど、実は挟んであるのはその地方の名物「クラブケーキ」なのです!
 クラブケーキって、よくお話に出てきて、お菓子みたいな名前なのにご飯らしいし、つくり方が複雑でコツがあるみたいだし、すごく気になっていたアメリカ料理の一つである。
 何者かというと、チェサピーク湾の名物であるカニの身をほぐしたものを、ごく少しのツナギとともに丸めて、軽い衣をつけて多めの油で焼き付けたものと思われる。いわば、カニクリームコロッケにおいてクリームとカニの配合を逆にしたような感じだ。メインで頼むと二つ付くのだが、高いので(写真のように、よさげといっても白いテーブルクロスとかワイングラスとかではないような食堂でも一品で20ドル台後半以上に)、お財布と相談してサンドイッチにした。こちらは一つ分しかつかないので安く、お腹もいっぱいになれる。タルタルソースとキャベツといっしょにバンズに挟まれて、コールスローとフライドポテトが付く。味は、日本のカニのように強烈に海と甲殻類の風味がするというものではなく、もう少しやさしい味。ほぐし身の繊維がもさもさとしてとても満足感がある。

 ところで、ポテトの為にマスタードとケチャップを持ってきてくれるのだが、このケチャップの瓶は、合衆国で目にした諸々の風俗習慣の中で最も理解に苦しむもののひとつである。つまり、「瓶」なのだ。それも、広口の瓶からスプーンなりで掬うのではなく、飲み物の入っているような瓶で出てくる。当然、少し傾けたくらいでは出てこない。恐る恐る完全にひっくり返しても、……やっぱり出てこない。蓋をして、恐る恐る、瓶を上下さかさまにして振る。蓋を取る。やっと直径2センチ分くらい出すことが出来た。でももう少し欲しい。えいやっ!とそのまま一振りして、……すでに勘の良い読者の方はお気づきのように、これが皿の上に運よく落ちるはずがないのでございます。
 きっと、どこかに、アメリカの子供なら小学校2年生くらいで完全にマスターするような、なにかコツがあるのですよね?納豆の醤油を入れすぎないとか、たれの袋を破るときに服を汚さないためのスキルみたいな、ね?


 さて、最後はボルティモア。日中あまりに時間的な余裕がなくて、とうとうセブンイレブンの2ドルのホットドックを他人様のお家の軒先を借りて雨の中ほおばるという暴挙に及んだ分、最後の晩餐はきちんと座って食べようと思って、ホテルスタッフのお薦めアフガン料理屋に。白テーブルクロスにワイングラスのお店である。 けど、全然リーズナブル。下の写真のシチューと米とソースとほうれん草のピュレがセットで、なんとかという料理一品なのだが、これで16ドル。ワインとサービス料、税あわせても30ドルだった。



 せっかくだから、ここは羊を食べよう!と、羊の煮込み定食に。クミンが効いたトマト煮込みにヨーグルトがかかっている。ごろごろマッシュルームが入っていて、味が染みてとてつもなくおいしい。ご飯(これもクミンと炊いてある)にかけて、ほうれん草のピュレを添えて、そこに、コリアンダーの葉と唐辛子少々にレモンとオイルかな?そんな感じのスキっとするソースをかけて食べるのだけど、これはどうにかして再現したいくらい本当においしかった!


ひとりメシ大集合 (1)

 学生やっていた時分は、美術館巡礼旅といえば、昼は700円相当のサンドイッチじゃ高いからスーパーで買った袋入りパン(*1)とリンゴで済ませよう、とか夜も駅近くの売店で2ユーロのホットドックとザウアークラウトで、みたいなことやっては2週間で2キロ体重落としたりする無茶をやっていたものだけど…、少しは経済的にまともに装備できるようになり、かつ「用事があって一人で旅行中の大人ですがなにか」みたいな形態が取れるようになってからは、一人ご飯もなかなか楽しくなってきた。まあ、めんどくさくなってスーパーやらで済ますことも度々ありますけれど。
 以下はゆるやかに時系列に沿って、なんとなく印象に残ったご飯など。


 ポートランド州立大学近くにあり、いつも繁盛している中華屋は、点心や北京ダックを出すらしい。これは牛肉の四川火鍋麺みたいな感じの名前で、「辛いのは好きだがあんまり辛すぎるのはちょっと」とかぐちゃぐちゃ言ったら「まかせて!」ってちょうどいいのが出てきた。麺はきしめんよりも幅が広く、餃子の皮を薄く長く切ったような感じで、上には八角と花椒の効いたほろほろの牛塊肉。美味しくて、碗にかぶさるようにして一心不乱に食べた。御覧の通り、何故かレンゲではなく「おたま」が付いてきて、なので、小皿に取り分けて食べるべきだったのかもしれない。始め箸を持ってきてもらったのだが、結局幅広麺が食べにくくてフォークに巻き付けるようにして食べた。ビール飲んで、サービス料も払って、21ドル。思えばこの街は安かった。


 ポートランド、土曜のファーマーズマーケットにて、インドカレーと特製レモネード。ジャガイモとチキンが入っていて底にご飯。思いのほかやさしい味で、日本のカフェ飯っぽい。

 ボストンは、気持ちも時間も余裕がなさ過ぎて基本的に買って済ませていた。サンドイッチ屋のサラダバーの近くにスープバーがあって、スープとパンを買って10ユーロ弱とか、そういう感じ。


 写真はニューヨーク初日に入ったイタリアンで食べたラザニア。雨降りの日で、とにかく温かいものが食べたくてホテルのそばで見つけた。きちんと温かいし、美味しくて、一人客もちらほらといて落ち着いた。


 店内にピアノがあり、その周りに集まっている人々が順番に歌う。ニューヨークに来ると、座ってゆっくり食べられる場所では、メイン一品に飲み物一杯で、サービス料と税金を含めると30ドル前後に。


 ニューヨーク、ホテル近くに、ガイドブックにも乗っている有名なベーグル屋さんがあるというので並んでみた。ゴマベーグルにサーモンとクリームチーズという基本でお願いして、コーヒーを付けたらなんと15ドル!ぎゃあ。でもとてもおなか一杯になるし、兎に角美味ではあった。


 ニューヨーク、ホテル近くのタイ料理屋のテラス席で、海老のトムヤムクン麺。麺は米粉のフォー。疲れると汁物欲しくなりますよねえ。


 ニューヨーク、タイムズスクエア少し上がったところのベンダートラック(トラックの屋台みたいなやつ)でトルコめし。とても美味しそうには見えないと思うけれど、これがなかなか美味しいのです。少し風味のついた(思うにサフラン色のスープで炊いてある)長い米の上に、コマ切れになった鶏と牛の肉(つまるところケバブ)、生の野菜。これにヨーグルトとマヨネーズの混ざったようなソースと、フランスでいうところのアリッサ(またはハリッサ、唐辛子とニンニクのペースト)をかけて食べる。平日夜で、スーツ姿の会社員や、これから観劇に行くと見える家族連れなんかを眺めつつ、噴水の縁に危うく腰かけて観光客気分を満喫した。


 これは、一日素描室に籠って、もったいないからその後夜間拝観の閉館ギリギリまで美術館を歩いた結果もうふにゃふにゃに気が抜けて、命からがら買って帰ったデリ。米とか肉、魚、野菜、色々あって、全体の重さで値段が決まる。これで10ドルくらい。焼いてマリネした野菜で元気が回復した。


 ニューヨーク、可愛げハンバーガー。


 フィラデルフィア、可愛げ控えめハンバーガー。この、たたきつけても決して割れないトレーに、ぶん投げてもサッと拭くだけですぐ使えそうなテーブルを見よ。にしても味は素晴らしかったー!牛赤身肉をまだらに挽いたのが、ツナギなしで焼いてあって、どろっとしたチーズと、カリカリのベーコン(これは調味料である)と行方不明になりがちなピクルス。肉の幸せという味がする。


 フィラデルフィア、チェーンのメキシコ料理ファーストフードやの、タコライス。長い米に、豆の煮た奴、チョリソーを細かく切って炒めたもの、トマトの角切りマリネ、アボカドのペースト、チーズ、生野菜、それから白ソースとアリッサ。これも見た目は微妙になってくるけど結構いける。


 

2017/09/09

旅の持ち物反省会(気付いたときに更新中)

旅の持ち物備忘録

↑これは、以前に書いたもので、ぼちぼち更新しながら今もわりと使っている。
 例えば、室内履き用のクロックスは機内に持ち込まずトランクに入れているし、そろそろタオルを持参しなければいけないような宿はあまり使わなくなってきたりなど。あるいは、機内に持ち込んで乗り継ぎ時間に顔を洗ったりするときのタオルは、近頃はご機嫌で「手ぬぐい」を使っています。

 さて、反省。
 今回は、アメリカ西海岸・東海岸、8月下旬から9月上旬まで計17日間。
 気候は、同時期の日本よりはだいぶん涼しく、湿気も少な目。
 滞在時の体感気温は、ワシントン>ニューヨーク>フィラデルフィア>ポートランド>ボストン>ボルティモア(これは雨だったため)というところ。
 場所は、大学、美術館、図書館等中心。

 服は、一週間+一日くらい洗濯無しで大丈夫なように持参し、滞在中に2回、比較的長居したポートランドとニューヨークで洗濯を入れた。

◆持って行ってよかったもの
・サングラス:日差しは本当に強かった。
・耳栓:飛行機機内だけでなく、今回はニューヨークのホテルで室外機の音が結構きつかったので、これで安眠を確保していた。
・スニーカー:動き回るメインだったので、持って行って正解だった。
・ジャケット:今回は五年前から使っている夏用の薄いベージュのタラっとしたやつと、バーゲンで新たに仕入れた紺の襟無し裏地無しの夏用ニットジャケットを持参。日焼け対策にもなるし、肌寒い日も使えるし、大人にみられるし、便利だった。特に襟無しのはカーディガンみたいにも使えてよい買い物をした。東海岸の都市では、働く人は男女ともにこのシーズンでも夏生地のジャケットを着ている人々が多く、目の保養でした。
 大人にみられるといえば、同じ理由でプリントのボックススカートも。しゃらっとした生地は畳んでおいてもしわが目立ちにくく、汚れも目立たないし、無地のTシャツにジャケットを羽織ればどこへ行っても大丈夫。
・淡水パール:おしゃれしたい意図が伝わりやすい。
・ワイドデニム:ユニクロの黒デニムで、少し薄目の生地の9分丈。これは、ジャケットを羽織ればキチンとも見えるし、機内でまるまって眠るのにもストレスがなくて万能であった。
・amazon kindle paperwhite:文庫本より軽い小さなサイズのを娯楽用に導入したのだけど、「読むものがなくなる」という不安から解放された。っていっても旅先でもガンガン買ってしまうのだから世話ないんだけど。これのもう一点いいところは、スマートフォンやタブレットと違って、直接目に来る光が少ないのに見えるから、入眠儀式に使いやすいことです。最近はスティーブン・キングの『ダーク・タワー』シリーズ、ちょうどアメリカなのでよい感じ。
・よいデジタルカメラ:研究のために導入したもの。canonのコンデジの中でいい奴だと思います。近頃は一般人が手にするのはスマホとデジタル一眼に二極化されているのかという印象があるけど、一般人のなかでも美術史のひとにはスマホでない、かつハンドバッグに収まるデジカメは強い味方だ。薄暗い美術館でも「失敗して使えない」写真が劇的に減った。

◆あまり使えなかったもの・再考の余地があるもの
・モバイルwifiルータ:今回は仕事上連絡を確実に取れる手段が欲しかったのでレンタル契約していった。ところが、基本的には美術館とホテルと大学はWifiが飛んでいるので(日本よりは断然飛んでいる)、結局、移動時間くらいしか使わなかった。機器は持ち運ぶには重たいし、途中通信障害で二日間ほど通信が滞ったので、信頼性という観点からも微妙である。
・ロングスカート:チノのロングスカートを持って行ったけど、案外旅先だと動きにくいし、雨が降ると裾が気になった。
・パンプス:ピンクの4センチヒールを持って行ったのだけど、薄い色のパンプスを履いている人は少ない印象。汚れるからかな?やっぱ黒が万能か。
・ある種のカットソー:普段着るものでも、旅先は腕周りが少しでも窮屈だと頭痛がしたりするので、持って行ったけど結局着なかったものがある。

2017/09/07

魅惑の朝ごはん

 間が空いてしまいましたが、今夜が最後、ボルティモア。教会や古いお屋敷の並ぶマウントバーノン地区にある19世紀の香りのするプチホテルにいるが、なんかリネン類から洗剤が残ってるんじゃないかと思うくらい爽やかで人工的な香りがする…。音と香りはあまりレビューに書くひとがいない気がする、というかこの二点は私普通の人よりも気になるのかもしれないので、難しいところである。
 どこでも時間的な余裕がないので、ワシントンでリンカーン記念像を見ず、フィラデルフィアで独立の記念モニュメントたちも見ず、ボルティモアでもインナーハーバーを見るのもあんまり疲れたし雨なのであきらめてしまった。とはいっても、どこかしら歩くだけで色々と発見があり、都市の中での地区のカラーの違いを差し引いたうえでも州ごとの違いが何となく匂ってくる気がする。


 話はまるでかわりますが、これはポートランドのホテルの朝ごはん。ビュッフェで、メインはスクランブルエッグにカリカリベーコンとジャガイモを角切りにしてきつね色にソテーしたものである。炭水化物はトーストや甘いパンも選べるけれど、ダントツ人気で結構おいしかったのがワッフル。


 右にみえるタワーから紙コップにタネを出して、左にある回転式ワッフル機で2分30秒焼くのを各自行う。その隣には、ホイップクリーム、バター、メープルシロップとチョコチップなどのトッピングが選べる。
 種が甘めで、案外美味しかったのが、ベーコン×メープルシロップ。気持ち悪い感じしますかねえ?『大草原の小さな家』シリーズの『長い冬』で、お父さんがワイルダー家に行ったときに食べるそば粉ホットケーキが、確かベーコンとシロップをかける(シロップはひょっとすると記憶ちがいかもだけど)のがとても美味しそうだったので、機会があれば…と思っていたのです。アメリカはフランスよりは甘い×しょっぱいを使う気がする。あと、みんな大好きカリカリベーコンは、「調味料」として使われているんだ!と先日ベーコンチーズバーガーを食べながら気付いたところです。


 ワシントンでは、うまいこと官庁街のオフシーズンに滑り込めたのか近代的で居心地の良いホテルに当たり、朝ごはんも素晴らしかった。同じくビュッフェで、卵、ポテトのソテーは夏野菜入りで少しスパイスのきいた南部風、同じく南部名物のビスケット付き。それとカットフルーツにヨーグルトとナッツ、ベリーをかける。これぐらいちゃんと食べると午前中十分動きまわったり緊張する調べものしていても疲れすぎないし、昼に眠くなるほど食べなくても夕方までもつので旅行中には大変よい。

2017/09/02

NYCまたまた経過

 昨日と今日で、少し緊張する用事を無事に終えたので、夜は近くの野菜たっぷりデリを買い込んで宿に帰ってからはぼへーっとしている。今日のランデブーは不確定要素が多すぎて、朝ごはんと昼ごはんがおろそかになってしまったので反省(合わせてアップルシナモンマフィン一つとコーヒー二杯、チョコレート)。きちんと食べなければ余計に疲れてしまう。時間が足りないったら足りなくて、街レベルでGoogle map上でみたら静止しているように見えるようなときもすごく忙しく動き回っていたりする。



 昨日は少し夜体力的にも余裕があったので、MOMAの夜間拝観&夏季限定の木曜中庭コンサートののち、少し下って世界の中心であるかもしれない(かった)ところのタイムズスクエアのあたりを見ることが出来ました。一角だけまばゆいばかりに明るいので、別世界にやってきたような気分に。そして、そうでない場所については、これほどの大都会だけど案外明るくないんだということに気付く。


 グランドセントラル・ステーションのあたりからクライスラービルディングを臨む。私の浴衣の柄はいつもエンパイアステートビルって言ってたけどありゃあクライスラーの方だな。そしてこっちの方がエレガントではないでしょうか、ね。

2017/08/31

NYC 経過

 ニューヨークの水曜は晴れ。

 西→東の時差(3時間早まる)が意外にも根強いのか、昨夜はうまく眠れず、朝は8時半ころまで寝ていた。
 急いで支度して、近くのお店でベーグルを食べて街を歩いてメトロポリタン美術館まで。ところでちゃんとしたベーグル屋にトーストにサーモンとクリームチーズを挟んだの作ってもらうと軽く1000円超えることが発覚した。今後は余程でないかぎり朝ごはんにはこんな贅沢は出来ぬ…結局メットのカフェがそれ以上にブルジョア価格なうえに時間がもったいなかったので、昼袋入りのブラウニーとオレンジジュースで済ませることになり、朝エネルギー取っておいたのは正解だったんだけど。



 映画・小説・ドラマで登場目白押しのセントラルパークというやつ。平日の昼間だからか観光客多い。周りにはフードカートがたくさんあっていい匂い。


 メトロポリタンは、公園横の立地といい、受付や警備員の観光客のさばきようといい、なんだかルーヴルに似ている感じがした。


 これはおまけ。昨日の飛行機ですが、国際線とか外国キャリアの飛行機の中って、大体選択肢にトマトジュース(塩入り)があるのが嬉しい。旅行中のお肌に優しいし、おやつのナッツやスナックとよく合うのよね。

2017/08/30

Portland - Boston - New York City

 いきなり更新をやめると心配されるかもしれないので念のため生存確認を!(日本の方がアブナそうですがね…!)土曜夜(訂正、日曜夜)にアラスカ航空夜行便でポートランドからボストンへ、光の速さで美術館を観て、ボストンコモンのほとりに一泊。下手によい地区に泊まってしまったため食べ物を見つけるのに難儀した。月曜(訂正、火曜)は駆け足でハーバードの美術館を観てボストンからニューヨーク、ラガーディア空港に。

これはボストンの街中。日曜(訂正、月曜)は天気が良くて街が綺麗だった。気のせいかポートランドよりも落ち着く。恰好あんまり浮かないし…ちなみにポートランドでは、若者は洗いざらしのシャツ(小さいよくわからない柄とかチェック)に膝上までのハーフパンツ、ローテクスニーカーかヒールなしのサンダルで、バッグはバックパックかメッセンジャーという感じ。お洒落な子ほど、髪の毛刈り上げてすらっとしていて性別がよくわからない。ヴァカンス時期だからか、大人で余裕のありそうな人は、山ブランド率高い。ボストンでは普通にアイロンのかかったピンストライプのシャツにチノパンに革靴・革のバッグを身につけた男性(年齢を問わず)だったり、黒いジャージー素材のワンピースにカーディガンとかジャケットを羽織った女性をよく見た。


 これはボストン美術館。上のようなひどい日程なので、東洋美術はほとんど見られなかった。しかも、前の晩が夜行便できちんと寝られなかったので、二度ぐらい立ったまま寝そうになって、アメリカ美術の日当たりのよい回廊のベンチで20分くらい気を失ったように仮眠を取る。その後イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で、その20分をめちゃくちゃ後悔しながら、でも受け付けの女の子が素晴らしいルートを提案してくれたおかげで何とか見るものを観ることができた。


 これ、中庭、いいでしょ。


 ティツィアーノの間。作品や調度を部屋ごとにゆるやかに統一させてあり、絵画も工芸品も説明が部屋ごとにポータブルのパネルになっているので、探偵気分でいいものを探すのが楽しい。

 ニューヨークは小雨。どっちみち美術館には間に合わない時間だったのでタクシーを使わずバスと地下鉄を乗り継いで80分くらい、5ドルちょいだった。

 せっかくなのでここまでの空港アクセスについて。
 ポートランドは、市電「MAX」で空港へ。これは40分くらいで5ドルで1日市内乗り放題のカードの範囲内であった。ポートランドはかなりバリアフリーが進んでいる印象を受けて、MAXには車いすの人が乗っていないのを見ないことがないくらいだった。ベビーカーも、自転車も多い。したがって、重い荷物を持っている旅人にも非常にやさしく、難なく空港までたどり着けた。
 ボストンは空港に近い市電T(一部地上にでる地下鉄)の駅までシャトルバス(無料)、そこから町の中心までは普通の値段(2.5前後)。Tは路線によっては電車の床が高い車両があるが、低い車両も連結してあり、エスカレーターも結構充実していた。時間も40分前後。
 ニューヨークでは二度ほど下りの階段で荷物を運んだけれど、もう少し頑張って探せばエレベーターなりがあったかもしれない。なんとなくあまり人のいない方まで行きたくない感じがしたので、あまりしつこく探さないことにした。危険を感じたというほどでもないのだけど、空港連絡バスからのメトロは、あまり身なりのよい人は乗っていない印象を受ける。

 晴れてたら、タクシーで「世界の中心まで連れてって!」っていって橋を渡ってみるのも素敵かもと思ったけど、まあ、今回は別の探検をしたということでいつかやろうと思います。
 

2017/08/26

Portland State University


 ウソみたいだろ。大学の中なんだぜ、これで。
 いま学生の参加している短期語学&文化研修プログラムを提供しているポートランド州立大学は、前回紹介した橋のあるウィルメット川西岸の、ダウンタウンをやや下ったところに広がっており、その結構広い敷地を、まるで北大のような本格的な緑地帯が南北に突っ切るような形になっている。その緑地帯を公園通りというが、御覧の通りにかなり樹齢のいった立派な木々と、綺麗な木のベンチたくさんあり、適当に人々が本を読んだりしゃべったり犬を散歩させたり曲芸の練習をしている。仲良しリスたちの姿も。


 日中日陰では25度より少し暖かいくらいで、湿気がなく涼やか、これで虫がほとんどいない。なのに、人でごった返していない。奇跡のようだ(逆に日本の都会にいると、こういうふうに日常的にほっとできるような場所が貴重過ぎて贅沢品みたいになっていて難儀なことである)。


 公園通り沿いになんじゃこりゃこの豪邸は!と思ったら、同窓会館のようなものらしい。


 右側は中小の講義室や研究室が入っているホール。語学の授業はこの中の教室を借りて行われている。



二点透視図法の練習みたいになったのは図書館を後ろから見たところ。


 ファサードは半分にしたドーナツの穴のような形にへこんでいて、ガラス張りの勉強コーナーになっている。


 蔵書はかなり開架に出してあるっぽい。芸術系だと楽譜が大量に!英語だけでなく欧州諸語や漢籍、日本語やアラビア語ペルシャ語と思しきものも関係なく何等かの仕方で並んでいて、少なくとも美術書はこれが便利だよなあ、と。


 飲食のできるコーナーや、グループで使えるコーナー。ホワイトボードの可動間仕切りは取り入れやすそう。


 入り口を入ってすぐ、「子供のいる学生さん、ファミリー・フレンドリーな自習室があるの知ってますか?」というサイン。

 ちなみにどうやら時差ボケを克服したようで、夕方自由時間に研究下準備できそうだと思って、今日は近くのスーパー(髭の長い兄さんがお香炊いてたりするナチュラル志向のスーパー)で飲み物を、近くのフードトラック街でトルコサンドイッチを買い込んでホテルにお籠り(トルコ料理屋台のおじちゃんはフェタチーズとほうれん草のパイをおまけにくれたがそれも絶品。ケバブラップサンドは予想にたがわず絶品でやすい)。

 ビールはHopworks Urban Breweryというこの辺りの結構有名なクラフトビール醸造所がつくっているグレープフルーツ果汁の入ったIPA(国際音声記号のほうではなくインディア・ペール・エール)(*)。インディア・ペール・エールは一口目に錆ついたような独特な香気と刺激があってびっくりするけれど、癖になるおいしさで、スパイス使った料理にも相性がいい気がする。売り上げの1%は環境保護団体に寄付するらしい意識高いビール。美味しい。後ろにあるのは「コンブチャ」という、やはりこの辺でちょっと有名らしいノンアルコール飲料で、シードルに似た感じで果汁とスパイス、発酵させた感じの炭酸で、塩気もある。ビタミンとバクテリアの力で元気でちゃうよ!みたいなうたい文句でグリーン&手作り系のラベル。味については、ひとまずはビールの方が美味しい、と言っておくが、うまく売り出せば尾道で人気が出そう。そんな味。

(*) これを買うときにもIDの提示を求められる。オレゴン州では飲酒は21歳からなのだが、昨日のワイン区域立ち入り禁止といい、かなり厳しく適用されている様子。私の場合、免許証は生年月日が和暦表示なので結局パスポートを見せることになる。タブレットに入った写真でも大丈夫だった。IDを見せると「あら、あなた案外年いってるのね」と言わんばかりにニコッとされるんだけど、まあ、向こうは規則でそうせざるを得ないのであり、考えすぎというものでしょうね。

2017/08/25

Portland, Oregon.

 初めてのアメリカ合衆国はひとまずオレゴン州のポートランドに滞在中。西海岸で、シアトルとちょっと近いところにある町です。
 眠たいのでひとまず説明は置いておいて、夕方仕事が終わってから散歩してたときに撮ったホーソーン橋。

 ポートランドは京都とかリヨンのような調子で街の真ん中を南北に大きな河、ウィルメット川が流れているが、その南寄りに架かる橋。1910年に開通した、アメリカで最初の昇開橋(vertical-lift bridge:船が通るとき、真ん中部分がみょーっと上がるそう。見たい!)だそうだ。夕暮れ時に北から。この北側にはフリーウェイが交差していて、それも結構格好いい。



 くぐります。川の西岸はずっと心地よい散歩道になっていてサイクリストが沢山いる。


 名前のわからない、結構大きな鳥さんたちが群れている。アヒルくらいの大きさで人を気にかけない。


 南に来ました。この後さらに南下すると、高級そうなホテルや海産物のレストランが並ぶ。今は大体20時前頃まで明るく、雰囲気も和やか。


 おまけ。街の中心のパイオニア・スクエアで、イタリア祭りが開かれていた。イタリア飯とワイン、何も買わなくても座っていられる椅子がたくさんあって、中心の舞台では今私もちょこちょこと出入りしているポートランド州立大学の 関係者?によるイタリアオペラ&歌曲のパフォーマンス。開放的で、気持ちがいいので休憩がてら何曲か聴いてみた。生ピアノの伴奏が結構いい感じに呼吸が合ってて楽しい。ワインの飲めるコーナーは21歳以上しか入場できない(私の顔だとパスポート提示を求められることが判明)けれど、中心の広場は老若男女、ほんとに赤ちゃんまでいて、とてもいい雰囲気。


 彼は、みんな知ってる「セヴィリアの理髪師」の何でも屋のアリアで、キャッチーなだけでなくパフォーマンスが素晴らしくて拍手がすごかった。