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2020/07/13

とにかく歌うのだ -育児雑感(7)-

 小さい人と暮らしていると、「衣食住」の次に加えたいくらい、よく歌い、なんなら踊ることになる。
 「いないいないばあ」「おかあさんといっしょ」の類の子どもむけ番組は、ほとんど歌って踊っているのだけど、まあ楽しそうに見ること。同じ頃の小さい子と遊ぶような、慣れない子らにとっては一触即発の場面でも、歌と絵本は鉄板。そういえば幼稚園でもよくよく歌ってたな。寝ぐずって抱っこの中でもがきながら泣きまくっているようなときも、歌うとひとまずは落ち着いて聞いてくれる(こともある)。他の仕事で離れなければならないとき、遠くからでも歌声付きならちょっと長めにひとりで遊んでいたりもする(比較的)。
 いきおい、日によっては一日の半分くらい歌い続けてるなあーみたいな時もあったりする。

 ミュージカルやオペラに抵抗を感じる人の理由として「突然歌いだすのが不自然」とか「会話が歌なのが変」というそのものずばりな批判(難癖?)がありますけど、あれは悲しい勘違いなのがよくわかる。

 人間は突然歌いだしたい生き物だし、歌は時に会話よりも心を通じあわせるものだった(*1)。それに、歌うと当然のように身体は動く。
 昔、「なぜインド人は踊るのか」と訊かれたインドの方が「人間は石じゃないからだ!なぜ君は踊らないの?」と答えたという素敵なエピソードを見たけど、あなたが突然、気軽に、歌ったり踊ったりするのにそんなにも抵抗を覚えるのなら、自分が石になりかかっていないか、なにか人間的でないところに押し込まれていないか、確かめてみるのもいいかもしれない。

 閑話休題。

 何を歌うかというと、即興でしゃべりたいことを歌にしたり、好きな歌を歌ったり、昔の合唱曲とかが出てきたり、色々。今はGoogle様とYoutube様のおかげで、うろ覚えの歌詞を覚えなおしたり、昔好きだった歌の断片からメロディを確かめたりできて、レパートリーが増やしやすいのはありがたい。
 最近、午前の昼寝に抜群に効くので歌いまくっているのが、『ソロモン・グランディ』、マザーグースに谷川俊太郎が訳詞をつけて合唱曲にもなっている歌である。とっても歌いやすくて、うるさすぎないところが気に入っているのだが、歌詞がじゃっかん…。

   「ソロモン・グランディ、ソロモン・グランディ
   月曜に生まれて
   火曜に洗礼
   水曜に結婚して
   木曜に病気(タッタタッターッタラッタッタ)
   金曜に危篤
   土曜に死んで
   日曜には墓の中」

まあ、危篤に一日取っているあたり、大変きめ細やかなのだけど、何度も歌っていると縁起でもない感じもする。
 なので、たまに、赤ちゃん・グランディに変えております。
   「月曜に生まれて
   火曜に寝返り
   水曜にお座りして
   木曜にハイハイ(ハイハィハィッハーィハィハィハイハイ)
   金曜にたっち
   土曜にあんよ
   日曜にはかけっこだ!」

 お粗末さま。


(*1) これは、香港の学校でいま、自分の政治信念にかかわる歌を歌うことが禁止されたという話を目にして、他の規制にも増して憤りを感じるところだったり、国家斉唱の強制への嫌悪感にも通じる。自分のからだと心の求める歌を歌うのでなければ石になってしまう。
 

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